ヤドカリと磯の生き物の飼育

09話
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夏は、たいへん![ホンヤドカリ編]


 金魚の水槽の飼育水が急激に悪化し、病気が発生したこともあり、ホンヤドカリの海水水槽のレポートが遅れてしまったが、実はこちらも大変だったのだ。
 前回に記した通り、明石(播磨灘)産のチビヤドが10匹加わったので、水槽の大掃除を行ったのだが、それから2週間くらいのうちに、昨夏から飼育していた日本海産のヤドカリが立てつづけに2匹変死し、ついに昨夏採集の日本海産は全滅してしまった。
 サンゴ砂を追加したりはしたものの、新参のチビヤドたちは元気なのだから、原因は水質の急変よりも、どうやら連日35℃という関西の猛暑に伴う水温の上昇にありそうだ。家を留守にして戻ってくると、エアコンなし状態の水槽の水温は31〜3℃に上がっている。エアコンをつけてしばらくすると28〜9℃に下がる。他の水槽は容量が大きいので水温の変化はゆっくりだ。しかしこのヤドカリのデスクボーイ水槽はせいぜい15リットルなので、室温の変化とともに水温も急激に変化する。
 観察していると、明石のチビヤドたちは水温30℃以上では、あまり動かないが、28.5℃くらいまで下がると、活発に行動を始めるようだ。そのことに気付いて、昼間留守中の30℃超はエアコンをつけっぱなしと言うわけにも行かないので仕方がないから、夜の間だけでも何とか28℃台に下げるように扇風機の風を当てたりして気をつけていた。
 しかし生まれも育ちも日本海産の2匹は、昼間の暑さに耐えられなかったようだ。前日まで元気だったのだが、ある日突然、岩の上からコロンと転がり落ちたと思ったら、すぐに絶命した。その数日後に最後の一匹も、同様にして死んでしまった。
 かくして、ホンヤドカリ水槽は明石産のチビたちのみが占拠することになった訳だが、水の冷たい「日本海」産はやはり暑さに弱かったのだろうか?それとも何か他に原因があったのか、よくは解らない。私も日本海産は何回か脱皮もし、身体も大きくなっていたので丈夫だろうと思い込んでいたフシもある。
 私は、品種を識別するのが苦手で、よほど特徴がハッキリしていないと、図鑑の写真をみても名前を特定できない。だから、とりあえずどちらも「ホンヤドカリ」と呼んでいるのだが、去年から居た日本海産は、3匹とも小さかったころから色黒だったことは確かだ。それに対して明石産は色が透き通るように白い。この差は歴然としているので、ひょっとしたら違う種類のヤドカリなのかもしれない。
 実は、日本海産がのこり2匹になったとき、水温対策として思い付いたのが、ホームセンターなどで売っているクーラーボックス用のゲル状保冷剤を使うことだった。一番小さいもの(携帯カイロの半分くらいの大きさ)を88円で買ってきて冷凍庫で冷やしておいた。これをビニール袋に入れて水槽内に、もしくはガラスの外側に密着させて、水温を下げようと言う目論見だったのだが、処置が必要な昼間は仕事場にいるもので、実行に移す機会もないままにコロリコロリと死んでしまった。試せなくてちょっと残念だ。
 明石産はどれもかなり小さい個体なので、この先どうなるかは解らないが、水温の上昇に対しては今のところ大丈夫なようだ。となると、こちらは「冬が、たいへん!」なのかも?
 しかし考えてみると、もし明石の海水浴場にヤドカリがいなかったら、この海水水槽、今回でオカタズケできていたことになるなあ…。

←最後まで残った「日本海産」の2匹の遺影。8月に入って猛暑が続いたせいか、立て続けに死んでしまった。下の明石産のヤドカリに較べて、かなり色黒だった。種類が違うのかなあ?人間的に考えると、色黒の方が暑さに強そうに思えるのだけれど…
←瀬戸内海は、日本海より温暖だから、暑さに強いのか?それとも単に採りたてで元気なのか?まだ小さいのだが、上の日本海産ヤドカリも去年の夏採集してきた時は、このくらいの大きさだった。
←明石産のヤドカリは、色白だ。日本海産は小さなときから深い緑色だったが…(目次のタイトル写真参照)

2001/08/17 (Fri)

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