アウトドア焚火酒野宿
 
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Introduction

▲いざ点火(湿ったマツ→後でヤニ落としがタイヘン)

 わたしの焚火は面倒な焚火である。まず、キャンプという概念が嫌いだ。あくまで野宿。雨でもテントは張らない。断熱シートも敷かない。ガスストーブは使わない。バーベキューも厭。炊飯をすると、どうしても残飯がでてしまうのでしない。焚火の上に金網を架けるのも避けたい。他人の姿が視界に入るところはNG。女性が同行するのもパス。…挙げればキリがないのだが、とにかくそういう偏屈焚火だ。
 焚火場所の『理想』のロケーションは、信州以北で、海抜は千メートル程度。ナラやクヌギにシラカンバの混ざる落葉樹の森で、樹冠の隙間からやや空が望めるようなところ。傍らに飲用に耐える小さな流れが欲しい。徒歩一時間圏内まで自動車が入れ、そこから、装備と食料と酒を担いで山道を現場まで歩く、という感じのものである。焚火の周りを、雑誌の取材にも耐えられるほどに整理整頓してしまうのが癖。それに気を取られて、もっと大事なことが疎かになってしまうのだけれど。

 『理想』の旅程は2泊3日。自分一人の背に負える装備と食料と酒の重さを考えるとこのあたりが限界で、少しでも「酒」の量を増やそうと、装備の削減と軽量化・合理化に苦心する。これもまたひとつの愉しみ。燃料の薪はすべて現地調達なので、6食分、そして焚火そのものをじっくり愉しもうと思えば、薪集めには相当な体力と時間を要し、朝夕はほとんど薪の奴隷と化す。なので、真ん中の日のお昼を、気儘な野遊びの時間に充てたい。

 焚火料理は酒の肴、というのが基本形である。食材は地元のスーパーに立ち寄って調達する。そこで気にとまった食材を適当に購入し、現場にむかう途中歩きながら、また薪集めをしながら献立を考える。もっともわたしは手先が不器用なうえ、調理するのも不得手なので、あまり気の利いた発想が湧かない。なのでこのあたりは先人の助け〈レシピ集など)を借り、それに自分でなにがしかの工夫を加えることにしている。まあ、専ら『酒』がメイン。
 上記は、わたしが20代〜30代前半まで目標に掲げ、実行し、向上に励んできた『焚火酒野宿』像である。野遊びにはカンの鈍い街育ちであったので、自ら開発した『理想』ではない。当時、職場の先輩であった、本山賢司さんの野遊び場所に数回誘っていただいて、その素晴らしさに触れ、病みつきになった。一人きりで一週間ほども森に入るまでになったのだが、その後関西に移住し、家庭を持ち、仕事に追われるようになってからは、時間も取れず、体力も減退し、もはや『理想』の追究は諦めざるをえなくなった。

 しかし、焚火の魅力には抗えず、現在でも、ときどきは出かけている。休日、大阪近郊の一泊が関の山で、理想にはほど遠いロケーションと旅程なのだが、そんな近場の混雑したフィールドでも、強引に上記の理想を完遂しようとするから滑稽なことになる。周囲でキャンプやバーベキューをしている人には、さぞかし奇異なオッサンと訝しがられているのであろうが、まあ良いかと。当欄は、そんな『偏屈焚火』を、ぼちぼち紹介してゆくコンテンツにしようと思っている。

※当サイトの他コンテンツ同様、コラム風に節操なく進めて行きますので、焚火の「指南書」的内容をお探しのかたには適さないであろうことを、予めお断りしておきます。(cave)

03.06.04

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