ヤドカリと磯の生き物の飼育

23話
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過去の近況(笑)〜海ヤド水槽の過去日記〜

↑イソヨコバサミの宿貝選びは節操がない。うう、動けん。(04.11.27撮)


 昨年12月早々に更新する予定だった海ヤドタンクの記事が、管理人すったもんだの煽りを受けて、こんなに延び延びになってしまった。エピソードはその都度「Kin-Yado guestbook」上で簡単に報告してきたけれど、もはや猶予はない。なにせその間に居なくなってしまった住人多数。またひょっこり復活してきたヤツもいるので、このままでは次のお話が書きにくいのなんの。というわけで、今回は更新停滞期の無脊椎な生き物たちの様子を時間の経過とともに駆け足でご紹介しつつ、次につなげたいという目論見である。ええと、前回記事が9月25日だから、その後のメモを辿ってみると…。

 04年10月9日 イソクズガニ没&イボニシ2号復活:前夜までクリルなんぞをセッセと摘んでいた、元祖マイペースのイソクズガニであったが、朝、突然コロリとひっくり返っていた。脱皮殻かと思って摘みあげてみると生身だった。原因不明。脳卒中か心筋梗塞でも起こしたのか? その新しい死骸に見慣れぬ巻貝が引っ付いていると思ったら、ハンニバル博士に屠られたと思い込んでいたイボニシ2号ではないか。こやつ、サンゴ岩下のカニの忠治の住居穴の真下に潜っていて、忠治が曳いてきたエサを失敬して食い繋いで来たらしい。近場でイソクズガニがくたばっていたので、これ幸いと姿を表したようである。ハンニバル博士がいたって生体嗜好なのに対し、2号はどうやら死体嗜好のようだ。貝もそれぞれであるなあ。

 04年10月22日 ケブカガニ脱皮:当水槽にやって来てから二度目の脱皮(前回8月24日)である。ヤド共の良い餌になるようなので、そのまま殻放置。

 04年11月07日 ヤマトホンヤドカリ脱皮:こちらも二度目。前回が9月13日だったのでケブカ同様二か月に一度のペースである。いたって元気で海水水槽の牢名主の座を築いたような按配だ。イソガニも脱皮したようだが、こちらは頻繁なので正確な日時は不明。もっとも最近二匹同時に見たためしがないので、どちらか一匹はすでに没したものと考えたほうがよさそうだ。となると残っているのは仁吉ではなく、二代目忠治か。ヤドカリ連中もそれぞれ脱皮を繰り返しているが、こちらもいちいちチェックはしていない。

 04年12月11日 ヤマトホンヤドカリ没:あらあら脱皮にも成功して頗る元気に親分風を吹かせていたのに突然のご臨終。原因不明。紅白の派手なキャラがいなくなって水槽が急に地味になってしまった。残念。イボニシ2号がまたまた死骸に吸い付いていた。好きだのまったく。元気な個体が突然死んでしまうのは実に不可解である。争いごとでもあったのか。寝もせずに一日中水槽を眺めていりゃ、その顛末も解明できると思うのだが、それはムリな話である。

 04年12月15日 イソスジエビ行方不明:ヤマトが脱落してひときわ地味になった水槽を、なんとか賑やかに見せていたのが、大きく成長したイソスジエビだったのだが、いない? 喰われたのか? それにしてはあの長々と伸びたヒゲの残骸すら見つからないのはおかしい。水槽外に跳ねたというのが最有力だが、辺りを見回してもそれらしき姿はない。ガラス板の隙間も飛び出すほどは空いていないし…。

 04年12月20日 アイオマックペレット投入:金魚の水カビ飼育水改善のために購入したヨウ素イオン抗菌剤「アイオマックペレット」を海ヤドタンクの「ローターS」にも入れてみた。こちらでは瀘剤のバクターセルと混在させて回してある。

 04年12月21日 干イソスジエビ発見:あらあら、やっぱり。水槽から1m以上離れたパワーフィルター置き場の隙間で、埃まみれになったイソスジエビ(干物)を発見。やっぱり跳ねたのね。しかしあの長い髭をして、ほんの数ミリのガラス蓋の隙間をすり抜けたうえ1m以上も跳ねるとは。助走距離も少ないというに。いったいどういう衝動が彼を突き動かせたのやら。祈、成仏。

…と、書き残した昨年分の出来事はこんなところであろうか。05年に入ってからは特に事件事故もないので次回更新時に、ということにして2月19日現在の棲息数は、ホンヤドカリ:2,イソヨコバサミ:4,ケブカガニ:1,イソガニ:1,イボニシ:2,ゴカイ:1〜総棲息数不明、が住人である。



↑クリルが入ると全員集合食事会となる(04.11.27)
左から、ヤマトホンヤドカリ、イソヨコバサミ、イボニシ、ホンヤドカリ。
上でイソスジエビがはしゃぐ。カニ共はカメラを警戒して隠遁中。
←【イボニシ(ハンニバル)】(追注:正しくはクリフレイシガイのようです)

ハンニバル・イボニシ博士がイボニシ2号を屠ったという噂は、濡れ衣だった。すまん。同居中の他の巻貝は全て食い尽くしたものの、その後は殊勝に、生ワカメや岩についた苔を舐めて過ごしていたが、クリルが投入されるやいなや一番に駆けつけるようになり、それで満足して悪さをしなくなったようだ。まあ、悪さをしようにも、もはや食べる相手がいないのだが。
←【ヤマトホンヤドカリ】

脱皮もソツなくこなし、わが物顔で闊歩していたヤマトだが、ある日突然コロリと逝ってしまった。どうもヤマトは不可解な突然死が多い。デスクボーイの浅い水深が生態に合わないのかなあ。しかし、ピンピンしていてコロッと死ぬのは、この高齢化社会に暮らす人間も、ちっとは見習ったほうがいいと思うな。
←【ホンヤドカリ】

クリルは、時間が経って水を含んでいても浮いてしまう。浮くとヤドカリたちが食べることができないので、オモリに挟んで沈めるようにして与えている。端から食べてくれれば良いものを、ヤドカリ達はお構いなしにどこからでも千切ってしまう。結局、しばらくするとプカリと浮いている羽目となる。
←【イソスジエビ】

脱皮殻を見かけることはあまりなかったが、どんどん成長し、特にヒゲが長く伸びて、狭い水槽を持てあますようになっていた。他の生物に動じることもなくなり、自分のねぐらを岩穴の中央に決め、餌が入るとき以外はどっかりと腰を据えていたのだが、その息災さが仇となり心ならずの投身自殺をしてしまったとさ。
←【ケブカガニ】

採集直後は時々底面を這っていたが、以来一切岩穴から出たところを見たためしがない。まあ、夜間に徘徊しているのかもしれないが。ちゃんと餌を摂れているのかどうかも不明である。煮干しやクリルをピンセットで摘んで岩穴に差しだしてやると、ハサミだけ出して受け取る。この写真のように目玉を見せるのすら稀である。
←【イソガニ】

忠治もじわじわと大きくなっている。歴代の脱皮殻は4個を数えた。岩の隙間から身を乗り出し、下を通るヤドカリをハサミで威嚇するのも日課のひとつだ。イソスジエビがいなくなってからは、エビの跡地にねぐらを移したようだ。生ワカメやクリルを沈める鉛のオモリがどんどん不足してくると思ったら、犯人はこいつである。岩の下の穴にオモリもろとも引きずり込んで食べるので、オモリはそこに溜まっているのである。
←【イボニシ2号】

ひょっこり出てきたイボニシ2号は死体愛好者だった。イソクズガニ、ヤマトホンヤドカリと、大物が死んだときには、必ずそれに吸い付いている変わり者。最近ハンニバルがクリルに目がないのを良いことに、地味に葬儀屋を決め込んでいる様子。葬式が無いときは、岩やガラスの目立たない場所で長い間じっとしている。2号の貝殻は、焦げ茶色で編目模様があり、なめらかで美しい。
←ライブロックに付いているこのポリプ、なんだか知らないが、ずいぶん長い間喰われもせずに鎮座している。少しずつ大きくなってはいるようだが、発生当初に比べて、だんだんみすぼらしい色合いになってきた。
←チビホンヤドカリの冒険

飼い主のヤローが、小振りの貝殻を整理して出して片付けてしまったので、オイラは困っているんだ。あのときゃ、たまたま大きめのに入っていただけで、ホントはまだ小さいのがいいんだよ。で、どの貝殻を試してもちょっと大きめで具合がわるいのさ。

さっきも換わってみたけれど、大きすぎたので、元に戻ろうと思ったとたん、突然ヤマトの親父が通りかかったもんで、驚いてぴょんと後へ逃げたんだ。が、裸で逃げたこのあたり、デカイ貝殻しか転がってないよ。早く元の貝殻に戻りたいんだが、こんどはイソヨコのおっさんが来やがった。トットと行ってしまいやがれ…オイオイ、こっちに来るのかよ。困ったなこりゃ。
←クリルでお食事

水槽内で一番鼻が利くのが、なんと、イボニシである。特にクリルの匂いに関しては敏感で、オモリ付きのがポチャンと入るやいなや、水管を象の鼻のようにあちらこちらと振り伸ばし、餌の方向をスキャンする。感知すると水槽の対角線にいようが、間に岩があろうが、一目散にクリル目指して突進してくる。まあ、途中でややコースアウトしてしまうこともあるが、障害物も踏み越えて大概は一番に到着している。すさまじい執念だ。(写真上)

ヤドカリ連中は、案外鈍感で、クリルに辿り着く頃にはハンニバルがしっかり羽交い締めにしてしまっている。このときもイソヨコバサミがやって来たが、既に遅し。イソスジエビもクリルが好きで、共食いをしにやってくる。(写真中)

イボニシに独占されるのはヤドカリが可哀相だから、オモリの両端にクリルを挟んで与えるようにしたので、どちらか一方のエサはフリーとなる。バカなイソヨコも、ようやく反対側のエサの存在に気づき、ありつけた訳だが、油断は禁物。ゴカイも大層鼻が利くので、オモリごと砂中に引き込む隙を窺っている。クリルのすぐ側にトンネルを穿ってヒゲだけ出し、食らいつくチャンスを狙っている。(写真下)

↑突然死したヤマトに、早速葬儀屋イボニシ2号が駆けつけていた。
写真右下に大鋏が千切れ落ちているのが哀れ。(04.12.11)
戦艦大和とその主砲も南西の海底にこのように沈んでいるのであろうか。
←脱皮の失敗でもなし。他の生物に襲われるほど弱者でもなし。水質が酷かった訳でもなし。前日まで食欲旺盛、元気だったのだから死因はさっぱり解らない。深夜のうちにいったい何があったのか?

↓行方不明一週間後、埃にまみれて発見された干イソスジエビ。
合掌、いただきます…じゃない。合掌。
2005/02/19 (Sat)

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