金魚と淡水魚の飼育
33話
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発情と産卵の季節
〜75cm本水槽全金魚図鑑〜

サカリが来ると水槽内はギチャグチャに、とはいえ放っておくしか手はないか。


 さて、今年もサカリの季節がやってきた。例年は水カビ予防のために水温を高めにしていたので、発情と産卵は11月から始まっていたのだが、今年はヒータを低めに設定していたせいか、わが家では初めて一般並に2月からの発情である。といっても「オヤジ」と「オジサン」の60cm水槽「海軍兵学校」にはメスを入れていないので、単に水温が低いだけ。可哀相に野郎二匹はショボンとしておとなしい。

 その「オヤジ」と今は亡き「東王」との間に生まれた二代目金魚たちが立派に成長した75cm本水槽では、オスメスが混泳しているので大変な騒ぎだ。水換えをおこなった日の夜あたりから、さかんにサカリ始める。どうやら水温や水質が微妙に変化することがキッカケになるようで、せっかく掃除して、水草などをキレイに植え直しても、明くる日にはムチャクチャになってしまう。オスどもは狙いをつけたメスを徒党を組んで追い掛け回すので、メスは水槽の隅などに押し付けられて、ボロボロのヘトヘトになってしまう。また逃げなきゃいいのに全速で逃げるものだから、ガラスに激突したり、流木の後ろに首を突っ込んでしまったりで、ウロコもはげ落ちてしまう。しかしフラフラになりつつも水草の中にアタマを突っ込んだメスは産卵を始める。オス三匹ほどが我も我もと産卵を始めたメスの周囲に集まって射精する。こんなことが狭い水槽のあちこちで行われるので、放出された精子で飼育水は白濁してしまう。もうタイヘンな騒ぎだ。

 産卵された卵は粘着性が強いので、水草のみならず、ガラス面やフィルターなどにも強力に付着する。放っておくとこれに水生菌が生え、腐って水を悪くするので困りものだ。もはやこれ以上住人を増やすわけには行かないので、わたしは「大飯喰らい」の金魚たちに自分たちで始末させるようにしている。どういうことかというと、産卵が始まると餌を与えないのである。サカリが一段落すると(サカッている間はメシのことを忘れている)、腹が減っていたことを思いだし、「メシクレ!」アピールが始まるのだが、「お前さんがたねえ、気持ちの良いこと存分にやって腹が減ったからといって、即、飯が貰えると思うのは甘い!」とシカトするのである。金魚共も、どうやら餌が貰えないと解ると、今度は付着した卵を探して一生懸命食べる。これで水槽の隅々までキレイになるというわけだ。今年は水温が低い設定なので、受精卵の孵化にも日数がかかり、パワーフィルター内をチェックしてみても稚魚は見つからなかった。今のところはメデタシなのである。残ってしまった卵は次回の掃除時にブラシなどで擦りとるのだが、今年はまだ一匹も孵化した形跡はない。シメシメ。一匹だけ残った三代目の稚魚に「トメ」と名付けて、これ以上の繁殖ストップを祈願したのが、功を奏したのか。

 この発情は二歳を過ぎ十分に成熟した二代目金魚たちの雌雄を判定するのに持って来いだ。いままで雄雌があやふやだったのだが、サカリだすと行動でどちらなのかはっきり解る。また雄共には今年初めて一丁前に「追星」などが現われだした。いままで雌だと思っていた「レフトくん」は、どうやら雄だったようで、さかんに雌を追い回している。「どの金魚がどれなのか?」というガキ共のリクエストがあったので、この機会に一匹一匹の特徴を記録して、おのおの名前を添え、個体をはっきり特定できるようにした。まあ、金魚の数も10匹にまで減ったので、ヤル気になったのではあるが。わたしとしては、固有名詞をつけると各個体に情が入るようになり、適正な飼育の妨げになる可能性があるのであまりやりたくはないのだが、名付けることで、子供たちがより注意深く観察をしてくれるのなら、それもいいかなというところである。

 んなわけで、今回はウチの金魚(75cm本水槽)の全金魚図鑑である。どれも同じヒブナなので、他人様からすれば、どーでもいいようなモノだが、ま、住民票みたいなものですな。どれがどれだったか解らなくなったとき、わたしがこの欄を見て確認するんです(笑)。しかし形式図のような図鑑的写真を撮るのにはドエライ苦労しましたわ。右側もと思ったけど、メゲました。15〜18cm級が9匹とトメ、オトシンの全11匹。どんどん大きくなっているが、この水槽じゃ、もう飼育の限界だ。今後どうすんだいったい。



〜75cm本水槽 全金魚図鑑〜(2003.03.08現在)
名 前:尻禿(しりはげ)
性 別:オス
生年月:2000年12月
体 長:16cm
特 徴:左側面の尾の付け根あたりのウロコがハゲている。目の周囲がはっきりしている。左目の下に赤いアザがある。追星アリ。右頭部に白い斑(ハゲ)あり。口は小さい。メスを追うのはかなり熱心なクチ。
名 前:オヤジJR(おやじじゅにぁ)
性 別:オス
生年月:2000年12月
体 長:16cm
特 徴:両目のレンズが白く霞んでいる。父親同様両側面にオデキができている。体の線もガタガタで「オヤジ」の遺伝子を色濃く引き継いでいるようだ。左側は丸いオデキ、右側は縦長のオデキ。追星アリ。口は大きくて右側上がりになっている。藻を食いちぎるのが上手い。
名 前:俊太郎(しゅんたろう)
性 別:オス
生年月:2000年12月
体 長:16cm
特 徴:両目の目玉のまわりに黒い部分が多い。追星アリ。両側ともウロコが剥げていないキレイな体。体型も美しい。スケベエ。
名 前:段平(だんぺい)
性 別:オス
生年月:2000年12月
体 長:16cm
特 徴:左目の上部分が薄黒い。追星アリ。左側面のウロコが3カ所ハゲている。正面から見ると口の上部右側部分に段がついているのが名前の由来。→
名 前:レフト(れふと)
性 別:オス
生年月:2000年12月
体 長:18cm
特 徴:黒目の部分が大きい。左側のエラが生まれつき捲れている。体は大きいが細長い砲弾形。口が大きく食べ物にはかなり卑しい。エラの捲れていない右側にも追星はでていない。「ウチの金魚たち:その2」での紹介時には雌だと思っていた。
名 前:ライト(らいと)
性 別:メス
生年月:2000年12月
体 長:15cm
特 徴:右側のエラが生まれつき捲れている。体は小さくて痩せている。横から見ると額部分に段がある。他の金魚の口に吸い付いて咀嚼中の食物を奪いとるのが得意。「ウチの金魚たち:その2」に右側面写真あり。
名 前:片目(かため)
性 別:メス
生年月:2000年12月
体 長:15cm
特 徴:稚魚の頃ストレーナーに吸い込まれて頭から突っ込み、左目を欠損した。体は小さい。頭頂部に白い斑点(ハゲ)あり。右側は正常でアタマでっかち。発情期になるとオスに徹底的に狙われていつもフラフラ。色っぽいのか。
名 前:ハンサム(はんさむ)
性 別:メス
生年月:2000年12月
体 長:18cm
特 徴:大型で体高が高く、タナゴ型である。左側面中央のウロコが剥げて白い。右側面は美しい。のんびりした性格。
名 前:ジャンボ(じゃんぼ)
性 別:メス
生年月:2000年12月
体 長:18cm
特 徴:大型で体の厚みがあり、ずんぐりしている。いわゆるボラ型か。常に右側に傾きがち。目は白く霞んでいる。右側面の中央が大きく腫れている。口は超大きく、正面から見て右下に向かって曲がっている。藻を食いちぎるのが上手い。他の金魚にやたら吸い付く癖あり。別名「京唄子」。
名 前:留(とめ)
性 別:未確認
生年月:2001年12月
体 長:7.5cm
特 徴:三代目。父親はオヤジ・オジサンを含め二代目のオス、母親も二代目のメスのいずれか。今季はまだ色気づいておらず、二代目がサカリだすとフィルターの陰に退避する。ただし産卵が始まると食べるのに大活躍する。ようやく体色がオレンジから赤に変わった。もう繁殖は打ち止め、との祈りをこめて命名。メスだった場合は「留子(とめこ)」に変わる予定。しかし二代目たちは一歳と少しの時点で10cmはあり、発情・産卵もしたのだが…同世代がいないので刺激がないのか。それとも単にトメがおぼこいヤツなのか? 
名 前:音信(おとしん)
性 別:未確認
生年月:不詳
体 長:3.5cm
特 徴:今や一匹のみになってしまったオトシンクルス。両目の後ろ側が赤い。チビのまま全然大きくなっていないが、金魚共に食われることもなく堂々としている。

井戸端会議?(左からカタメ、シリハゲ、ライト)
2003/03/09 (Sun)

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