金魚と淡水魚の飼育
34話
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兵学校玉砕 〜オヤジとオジサン追悼グラフ〜

最古参のオヤジとオジサンが死んでしまった。う〜ん残念。(2002.6.22撮影)


 学校を「玉砕」と言ってしまうのは、ちょっとヘンなのだが、60cm水槽を一つの部隊と考えれば、生物兵器、水カビ軍の電撃増殖であっという間に全滅してしまったのだから、さほど誤った表現でもあるまい。そう、ほんの二三日の間に、兵学校所属の古参兵、オヤジとオジサンが相次いで身罷ってしまったという。何度もぼやき続けてきた通り、我が水槽は、断続的に水カビ禍に襲われてきた。底砂、瀘剤、薬剤、水質調節等、色々な処置を施してはみたもののどうしても根絶させるに至らず、最近では、頻繁な水換えによって発生を抑制する一手に落ち着いたいきさつは、当欄を遡っていただければ詳しい。なので、水カビ病の症状などについては、今回は省略させていただく。「身罷ってしまったという」という伝聞調になっているのは、わたしが一週間弱の出張中で手当てができなかったからである。帰宅した時には、すでに二匹とも愚息達の手によって公園の所定の場所に葬られた後だったからだ。

 水カビ発生の兆候がなかったわけではなく、二週ほど前から二匹とも餌食いが落ち、恒例のバトルもあまり行われていなかったので、予防のために週二回の水換えをし、その飼育水もこのところバクテリアのバランスが好調な本水槽から半分移すなどして、十分に注意を払っていた。そして念のために出発の朝に薬剤「フレッシュリーフ」も一包投入してから出たのである。しかし、その4日後にオヤジが昇天、5日後にはオジサンも死んでしまうとは、改めて水カビの恐ろしさを思い知らされた。主の居なくなった水槽を覗いてみると、水は澄んでいるものの、食べ残された餌に水生菌が密生し無数の小さなマリモのようになってしまっていた。カビ臭が強い。エアーの細かな泡がいつも通りにたち登り、水草も揺れているのに住人はなし。生き物の居なくなった水槽は侘しい。

 オヤジとオジサンは、前回紹介した、本水槽の金魚たちの男親だ(母親は「東王」)。トメは彼らの孫にあたる。二匹が10cmに満たなかったころ、30cmの雌、東王と本水槽で三匹悠々と泳いでいたのだが、その体格差をものともせずキッチリ子どもを作ってしまった猛者たちである。その後、子どもたちに独特の教練を率先して行ない続け、彼らの水槽は「海軍兵学校」と命名された。しかし、度重なる水カビの来襲と子どもたちの成長に伴い、最近は二匹のみの住み家となっていた。ま、「海軍特設養護老人ホーム」化していたともいえる。縁日で掬われてきてから5年あまり飼育してきた訳だが、激しい教練と水カビ病の所為か体はボロボロ。二匹の成長速度は鈍り、最近の体長は20cmほど、もはや娘息子たちに追い抜かれそうな按配になってきていた。「オヤジ」2003年5月16日没。「オジサン」翌17日没である。

  主逝きて水も動かぬ梅雨の鉢

 さて、図らずも60リットルの空きスペースができてしまった。


〜オヤジ、オジサン追悼グラフ〜
東王の巨大化で60cm水槽では手狭になったので、二つの水槽をひとつに纏めた。120リットルの広いスペースに移って嬉しそうに泳ぐ三匹、東王(中央)とオヤジ、オジサン。オヤジとオジサンはそれまではルームメイト901Nでずっと二匹きり、バトル三昧の暮らしだった。(2000年11月)
東王は雌。あまりにも体格が違うので侮っていたのだが、なんのとイキナリ色気づき、果敢にアタックするオヤジ(奥)。必死で逃げる東王は何度もガラスに口をぶつけ、腫れ上がらせてしまった。当時のオヤジとオジサンの体長は10cm弱くらい。現在のトメ程度である。(2000年12月)
産卵が始まると、オレがオレがと擦りよって射精を争う。わたしのキビシイ観察の結果、より積極的で効率良さそう(いわゆる床上手か)と判断された雄が、のちにオヤジと命名された。しかしオジサンだって淡泊なりに頑張っていたのだ。したがってオジサンが子どもたちの親でないとは言いきれない。当欄前回記事の図鑑で体形を見ると、オジサンの種と思われる子も…(2000年12月)
激しいサカリ行為で、東王がボロボロふらふらになってしまったので、雄雌をセパレータで分けた。それでもオヤジは東王スペースにさかんに脱出を試みた。しかし三匹だけだと、まだ広かったなあ。(2000年12月)
その後、紆余曲折をくり返した後(当欄既出記事参照)、60cm水槽が「海軍兵学校」としてオヤジ、オジサンの専用住居となったわけだが、兵学校は度重なる水カビ病に侵された。鰓に白いカビが付着して苦しそうなオジサン(手前)とオヤジ。(2002年5月)
水カビが治まり、元気を取り戻した二匹。写真はバトル開始直後のようす。左にいるオヤジが宣戦布告。勢いをつけてオジサン(右)にロケット頭突きを見舞う構えに入る。(2002年6月)
空中戦ならぬ水中戦のドッグファイト。有利な後ろの位置(というより横腹だが)を確保しようとお互いがグルグルと巴に回りつつ水槽中を暴れ回る。まあ、毎日恒例の光景であった。(2002年6月)
小赤の頃から、ずっとバトルばかりやって来たので、二匹のカラダはボロボロだ。しかし豊富な運動量のせいか、尾ビレはきわだって大きくなっていた。左オジサン、右オヤジ。(2002年6月)
バトルに疲れるといつも仲良く並んで休憩するオヤジとオジサン。夜眠るときもキチンと整列して休んだ。手前がオヤジ。しかしときおりこの態勢からイキナリ横向きに頭突きをかますこともあった。動画を記録出来なかったのが残念だ。(2003年1月)二匹の冥福を祈る。

実をいうと、4月20日に新たな居候がやってきていた。東急ハンズのイベントで愚息が持ち帰ってきた、アカヒレ二匹である。今のところはガラス石を敷いた小瓶のなかで敏捷に泳いでいる。体長は1.5cmくらい。飼育は愚息に任せ、わたしは一切タッチしていない。現在、60cm水槽とルームメイト901Nが空家になっているが…
新加入してきたアカヒレ二匹。名前はまだない。
2003/05/24 (Sat)

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