金魚と淡水魚の飼育
31話
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大飯喰らい
〜金魚のエサと水草の話〜

空腹時、水槽に近づくと、一斉にこちらのガラス面に整列し「メシくれ!メシくれ!」。
左右に首を振るのだが、これはガラスのため前進できないからなのか?
もしガラスが無ければ(わたしが水槽内に居れば)じかに吸い付かれてしまうことになるが…。



 前回からふた月ほど時間が空いてしまったが、その間も「水カビ」の波状攻撃は続いて、週いちの換水は欠かすわけにはいかなかった。ま、そのかいあってか大事には到らず、「みっちゃん」以後、あらたな仏様を出さずにすんでいる。「海軍兵学校」のオヤジとオジサンも、あいかわらず天龍源一郎の腹のようなデコボコの体で教練を続けているし、本水槽の雌9匹と三代目のトメも元気だ。

 金魚たち自体はすこぶる元気なのだが、鰓や口の下に小さな白い水カビが付着したり、腹の部分に細かな気泡がくっついたままになったりしだすと要注意である。パワーフィルターのメンテや、プロホースを使った念入りな底砂の掃除などを週ごとにずらせて行い、そろそろよかろうと濾過バクテリアを投入した頃に、また水カビが出る。毎年のことなので驚きはしないけれど、いい加減ウンザリはする。

 ウチの場合、水草や濾剤等を避難させて強い細菌性感染症治療薬を使っても、結局効果は一時的なのが分かってきたから、今回は「フレッシュリーフ」という、水草に害の少ない薬を試してみた。そのぶん治療の効果はいくぶん弱そうだが、大仕事にならないのが良い。これなら水質調整剤に近い感覚で投入できるのでラクだ。効き目も水カビの進行がさらに進まない程度には効いているようである。しかしま、毎週の水換えをセッセと行うのが一番である。クスリはできるだけ使わないに越したことはない。カネもかかるこったし。ただし、水は冷たく腰は痛むが。

 さて、秋から冬にかけての金魚の食欲は凄い。餌がどんどん消費されてしまう。餌の袋には「一度に5分程度で食べきる量を与える」などと書いてあるが、ウチの猛者どもにかかると通用しない。なにせ5分で食べきる量たるや凄い量になってしまい、あたしの財布が持ちません。あげく、凄い量の糞となり、またしても飼育水デフレスパイラルに陥ってしまう。んなもんで、ウチの水槽の金魚たちは、たいてい腹を空かせているのだ。

 水質の状態がよかったときに、近所のショップが水草の安売りセールを開催したので覗いた。先に書いた通り、大飯喰らいで常時空腹な奴ばかりなので、たいていの水草はアッというまに丸裸にされてしまう。それで普段は安価なガボンバやアナカリスを餌のつもりで入れているのだ。水草レイアウトなんて、ウチの水槽ではできないのである。しかし今回、セールということで、変わった美しいものを入れたくなってしまった。懲りもせず、葉が厚く固いので食害に遭いにくいとされる「アヌビアス・ナナ」と、ヨモギみたいで不味そうに見える「スプライト」を購入して植えてみた。

 結果は、写真でご覧の通り。「スプライト」はほぼ一週間、「アヌビアス・ナナ」もひと月持たなかった。「アヌビアス・ナナ」のブ厚い葉に、口で一気に吸い付くと同時に素早く首を横に振る。これをくり返すと、千切れてしまうんですな。恐れ入りました。

 昨年までは、水カビ防止の意味で冬場の水温もやや高めに設定していたので、秋モードの食欲が冬にも続き、暮れの産卵へとなだれ込んでいたのだが、今年は毎週の水換えでカビ予防することに決めたので、ヒータがONになるのは15℃以下という低めに設定してある。これで少しは季節の変化がでて、普通の金魚の暮らしに戻ってくれるのではないかと期待している。食欲も、冬眠モードに落ちてくれるとありがたいのだが。



←満腹のときは、のんびり落ち着いたものである。中央の「ライトくん」は、あくびをかましてます。しかし、サカナの真正面って、けっこうマヌケな面ですな。
←水槽をやってますと、一度は「水草レイアウト」なんてものに憧れるものですが、ウチのように品の悪い金魚どもばかり飼っていますと、夢のまた夢であります。
ショップが安売りをしていたので、「アヌビアス・ナナ」(右2株)と「スプライト」を植えてみたのですが…
←約二週間後、あわれ「スプライト」は茎だけの丸裸に。旨かったのか、それとも遊んだだけなのか…
←あんなにブ厚くて固そうな「アヌビアス」の葉も、齧られてボロボロに。
ただし、葉齧りの上手なヤツ数匹が犯人で、全部の金魚ができるわけではない。千切った葉の破片は、ガムを噛むように口の中でこねくり回したあと、吐き出すようだ。それをまた他の金魚が回し噛み。
←約一カ月後、見るも無残な「アヌビアス・ナナ」の2株。
スッカリ食べ尽くされて、残りの葉っぱは、たった一枚。無残な風景にオトシンクルスがおもむきを添えている。

↓メシくれ!、アピール中の「京唄子」というか、「かしまし娘」。

75cm本水槽の現在の住人、10匹勢ぞろい。
満腹すると、並んでゴロ寝である。いい気なもんだ。
2002/11/28 (Thu)

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