金魚と淡水魚の飼育
03話
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金魚、その後 〜恐ろしきかな砂洗い〜


 先週末は生き残ったもう一匹の金魚水槽を大掃除した。こちらはなんとか元気を回復したようだ。ペットショップのオヤジに白カビ(水カビ)病の発生を抑制する方法を聞いたのだが、やはり水槽全体の環境を変えてしまわないと再発防止は難しいようで、それにはかねてから懸案だった敷砂の総換えが必要になる。

 熱帯魚の飼育経験のある人ならご存知だとは思うが、「砂洗い」はかなり骨の折れる仕事で、できたら避けて通りたく思う作業だ。昨今は「ハイドロサンド」のように洗わなくても良い製品も出てきているが、これは水草主体の水槽向けの商品で、ウチのような糞が多くて、砂を吸い込む大型の金魚には不向きなのである。いままで使っていた砂は見た目は美しいのだがPHがどんどん下がってゆくので、最初に使っていたポピュラーな「大磯砂」にでもしようかと思ったが、これだと60cm水槽で底面フィルターも活かそうとすると砂だけでもかなりの重量になってしまう。それに洗うのも細かな砂利が混ざっていてかなり大変だ。そこでショップを物色していたら、素焼きの小石というのが目に付いた。人工物だけあって少し高価だが、この際一度試してみようと思って2kgほど買ってみた。
 期待する効果のひとつはあまり水質に影響を与えないであろうと思われること、なにせ焼き物だから。もうひとつは同容積の小石よりは断然軽いこと。そして見た目には砂洗いが簡単そうに見えたからだ。

 グリーンF(白カビ(水カビ)病の治療薬)で青色に染まった古い敷砂をすくいだして、底面フィルターを外し、風呂場にバケツと新しい砂を持ち込んで、洗い始めた。この素焼きの小石は指で触ってみると表面がマット状になっていて引っ掛かる。これはこの小石が多孔質である証拠だ。最近の濾材は、活性炭に代表されるように広い表面積をもつ素材が使われていて、そこに有害アンモニアを吸着させ、それを分解するバクテリアを住み着かせるように工夫したものが多い。素材もセラミックスだとか、多種多様だ。それらのパッケージには「これ一箱で、東京ドーム50個分の表面積!」なんて売り言葉が書いてある。だいたいこの「甲子園いくつ分」だとか「地球何周」だとかのたとえほど「ホントかね?」と疑いながら結局なんとなく納得せざるを得ないものが多いんだが、どうかんがえても一箱分の濾材の上で野球できるとは思えない。

 バケツに少量の敷き砂を入れ水を出しっぱなしにして、手でかき混ぜると、どんどん汚れが出てくる。何回も繰り返すと徐々に汚れは薄まっては来るのだが、いくらでも出続けて水が澄むことはない。どのあたりで「こんなもんでいいや」と、次の分に移るかに性格がでる。もう二度とこんなに丁寧に洗うことなどないと思うと、できるだけきれいにしておきたい。それに高かったんだし、ベストなコンディションで使いたい欲もでる。そのうち手が痛くなってくるので、スコップなどを使いだす。しかし、人間の手ほど最高の道具はない。手で洗うのが一番効率良く汚れが落とせるように感じる。また手で洗う。痛くなる。スコップにする。もどかしい。また手で…。しかし汚れはどんどん出続けるのだ。
 「ん…」はたと手を止めた。この敷砂は素焼きで多孔質である。ゆえにアンモニアをよく吸着し、バクテリアを培養するハイテク砂なのである。ということは、よく濾材のうたい文句にあるように「東京ドーム50個分の表面積」なのである。いまバケツを掻き回して洗っているオレの脳裏に東京ドームのフィールドを雑巾がけしているオレの姿のイメージが浮かんだ。そのイメージが浮かんですかさず、手をとめた。「…やめた」。

 まだ2kgほどしか洗い終えていない。この水槽だと最低でも8kg は必要だ。果たして水槽に新しい砂が入るのはいつのことになるやら。恐ろしきかな、砂洗い。



2000/07/17 (Mon)

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