ヤドカリと磯の生き物の飼育

01話
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面倒ふえたよ日本海


 22、23日は、暑かった。その暑い盛りに友人も誘って家族で海へ出かけてしまった。場所は日本海の丹後半島だ。ここへは小学生の時に数回、大学の頃に一度来たことがある。大学のときから数えても約20年ぶり。港町の家並や海岸の岩礁の風景はさほど変わっていなかったものの、港には立派な斜張橋が架かっていたし、海沿いには真新しい旅館や温泉が立ち並び、当時ほとんど人がいなかった海岸は満車状態のオートキャンプ場と化していた。このあたりはちりめんの産地だが昨今の不況では、どうやら観光資源に活路を見いだす他はなかったようだ。冬にはカニという売りがある。しかし日本の夏の海岸は小都市の駅前同様、どこにいっても全く同じになってしまった。30年くらいまえにカニ族みたいなことをやって、見つけておいた良い感じの駅前や海岸が何カ所かあるのだが、もはや訪れてみても多分だめだろうなあ。

 さて、水の冷たい(きれいな、と言いたいところだが太平洋側に比較すればってことだから言わない)日本海の海で子供たちを遊ばせ、夜は海岸で花火をし、民宿らしい民宿に久々に泊まり、ビールを飲んで翌日また泳ぎ、ヘトヘトヒリヒリ状態で家に帰り着き爆睡し、ビタミン剤を飲んでうつろな目で出勤するという予定通りの行楽だったのだが、ひとつ予定外のことがあった。

 ヤドカリだ。この浜には所々に岩場がある。愚息にタイドプールの生き物を見せてやろうとバケツをさげて連れていった。30分ほどごそごそやっているとイソガニが15匹、ヤドカリが4匹のほか小さなハゼなどを数匹、捕まえることができた。浜から帰るときまで観察させてやろうと、時々バケツの海水を入れ替えてパラソルの日陰に置いた。海で十分に遊んだ後、子供たちを呼んで生き物を海に返させた。まずカニから、一匹ずつ手から海に返すようにさせていたが、いざヤドカリの段になって、持ち帰りたいといいだしたのだ。もちろん海水生物の飼育は厄介なものだということや、帰りの車中で、ほぼくたばってしまうと予想されることなどを説いたが、言うことを聞かない。先日も金魚のことで一泣きしたばかりなのに懲りていない。少し考えて、ヤドカリには申し訳ないが、この我儘な愚息にもう一発いのちの尊さを解らせる機会にしようかと、承知した。


←ホンヤドカリ
イボニシの貝殻を宿にした、真ん中の大きさのヤツ

 ヤドカリはすべて小さな個体で、ペットボトルに海水を詰めその口から入れた。帰路ときどき状態を観るようにしたが、どれも元気だ。オレのほうも金魚の一件があったので、もし元気な状態で帰り着ければ、できるだけ死なさないように飼育する覚悟をした。さあ家に帰り着いてから大変なのはオレである。空いている昆虫用の飼育ケースに海水とヤドカリを入れ、島用の石を金魚水槽から失敬し、エアレーションをし、ヤドカリ関連サイトで飼育方法を調べる。近々に人工海水を買ってこなければならない。海水比重計もないと不安だ。セッティングをしながら横の水槽をみるとオカヤドカリがのんびりと煮干しを喰っている。冬越しさせるために結構な出費と手間をかけさせられたが、この海のヤドカリに比べりゃラクチンな奴だ、と思う。水はキリフキだけで済むからなあ、こいつは。

 で、四日たった今日だが、朝の時点では4匹とも生きている。人工海水は昨日購入した。まだ持ち帰った海水のままで、使用はしていない。なんとか週末までもって欲しいものだ。深夜にバケツをもってゴソゴソやりたくないもの。煮干しを小さく千切って少し入れてみたら、喰っとる喰っとる。やれやれこれからどうなることやら。

 話は変わるが、白カビ病から生き残った25cm金魚は完全に回復した。水槽が広く使えて当分は水も汚れにくいだろうって? いんや。実は愚息が、小学校の教室で飼っている金魚の夏休み中の世話を自慢気に安請け合いして持ち帰ってきたのだ! その数なんと7匹! 現在混泳中。夏休みよ、はやく終わってくれ!




2000/07/26 (Wed)

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