おかやどかりの飼育

15話
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引越し終えて水を飲む?

↑おお! おかやどハウジングセンターができたか、うれしや。

 脱皮を終えて砂から出てきたオカヤドカリは、毎日ガジュマルの木に登って、木の皮を齧っている。それはそれでご満悦のようなのであるが、彼にとってひとつ不愉快なことがあるのだ。いわゆる住宅問題なのである。毎日観察しているわたしの目にも、今の貝殻は小さすぎて窮屈になっている。前回は、脱皮直後にただ一つだけあった大きめの貝殻に引越した状態の写真だが、どうやら大きすぎてもてあますようで、何回か宿替えを繰り返したのち、もとの窮屈な貝殻に戻ってしまった。

 そんなこと言われたって、適当なサイズのはそれしかないので諦めてもらうしかないなと思っていたら、なんと近所の東急ハンズが久々に貝殻セットを大量入荷した。財布は辛い状態なのだが、窮屈な家によるストレス死などされてもたまらないので、ここは一発、家を購入してやることにした。
 ビニールの袋に多種いろいろな巻貝や二枚貝がセットにされて封印してあるので、適当なかたちと大きさのものを選択するのは非常に難しい。一袋中に使えそうなものが二個あれば万万歳というような感じなので、どうしても一袋の購入では済まない。できるだけ出費を抑えるべく、真剣に中身の貝殻を吟味して3袋買った。そのうちヤドカリが入りそうなものは5個である。小さい巻貝はホンヤドカリに使えるが、あとに残った大量の貝殻は娘のオモチャに回すしかない。ああ、なんとかバラ売りしてくれないものかねえ。

 選択した5個の貝殻をきれいに洗って水槽に入れてやると、オカヤドカリは待ってましたとすかさず貝殻の近くにやって来て、チェックしだした。やはり、かなりのストレスになっていたようである。普通なら掃除などで水槽をゴソゴソやると、端っこのほうで引込んでしまい、わたしが離れるのを待っているのだけれど、今回はわたしの存在などお構いなしで、新しい貝殻を、さかんに覗き込んだり裏返したりしている。あ、こりゃすぐに引越しするな、という気配だったので、しばらく観察していたら、新しく入れた5個の巻貝すべてをチェックし、そのうち気に入った3個には試しに何度か宿替えをした。しかしどれもいまひとつお気に召さないらしく、また元の窮屈な貝殻に戻ってしまう。わたしがちょうど良い大きさだと思っているイチオシの貝殻を、なかなか試そうとしないので、「もう、かってにせい!」と、水槽の前を離れた。

 しばらくして覗いてみると、なんと、わたしのオススメの貝殻に入って落ち着いているではないか。「な、オレの言った通りだろ」て言っても、あいつらヒトのコトバが解るはずもない。ま、よかったよかった。


↑ん〜、この貝殻(管理人オススメの一品)はどうかな?
↑これは貝殻の厚みがありすぎて、イマイチだな。
↑ちょっと大きめだが、いちど試しに入ってみよう。
↑ん〜、奥の方の具合は、と。
↑さて、移るときはイッキにいかんと危ない、あらヨッと!
↑替わってみたが、やはり、ちょっと大きすぎるかな?これ。
↑いちおう奥まで入ってみたりして、按配のチェック中。

 引越しを終えてごきげんな様子なので、水槽をベランダに出して掃除をすることにした。底砂に水を注し、流木も塩水に浸けたものを入れてやる。

 サンゴ砂に水を注してやると、ウチのオカヤドカリは、両のハサミを揉み手するように擦りあわせながら砂に深く差し込み、土下座したような形でしばし静止することがよくある。わたしは、これを、水を飲んでいるのだろうと考えていた。でも腑に落ちなかったのは、口の位置だ。もし頭の下側に口があり、それで水を啜っているのなら、この場合、その部分は濡れた砂に接してはいない。ハサミの半分くらいの位置までを砂に差し込んでいるので、頭の部分はもっと上になってしまうのだ。
 水入れから水を飲むときは、餌を食べるときと同様、ハサミを水に浸けツマミあげるようにして口に運んでいるから、あの「土下座」は、いったい何をしているのだろうかと不思議だった。

 ガジュマルの皮は、ハサミで摘んで口に運んでいるが、流木でも同様にする。前にオカヤドカリの好物についてレポートしたときに、どうやら塩分が好みらしいと思ったので、流木を洗うときに塩もみにして入れてやることにしている。今回、塩に浸した流木を入れてやると、その上に登って、先に書いた「土下座」をしだした。流木上だから、砂の中にハサミが潜らない分観察しやすい。確かに口の部分は流木に接してはいない。一体どの部分を、流木や砂に押し付けているのだろうと近づいて見ると、どうやら左右のハサミの中央前部に生えている「黄色いヒゲ」のようなもの(下の写真)を、密着させているようだ。

 はて? と思って手近なオカヤドカリ関連サイトをあたってみたのだけれど、ハサミに生えた黄色いヒゲについての解説は見つけることができなかった。

 あのヒゲは、いったい何の役割を果たしているのだろう。ヤドカリの仕草を見ていると、なんらかのセンサーになっているような感じもするし、水分や塩分を吸い上げているようにも見えてしまうのだけれど……口ではないし、さて?
 引越しが終わったので、ひと息付いて水分を補給したのかなあ?


↑矢印の部分にある「黄色いヒゲ」を
よく砂の中や流木に押し付けて、土下座しているのだけれど…
↑塩の染み込んだ流木に「土下座」
どうやら、上写真の「黄色いヒゲ」の部分を
強く押し付けているようなのだが、さて、何をしているのだろう…

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2002/07/07 (Sun)

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