金魚と淡水魚の飼育
40話
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産卵水カビ換水発情ローテーション
〜何が効くのか〜


↑水カビ病はあいかわらず完治しないが、5匹とも元気に泳いでいる。(04.04.30撮)


 毎年春は、上記表題のようなローテーションがきっちり決まる(といってもウチの場合晩秋から始まるのだけれど)。このようなローテーションがキッチリ決まるのは、プロ野球の投手コーチなら嬉しいところだが、金魚飼育者にとってはたまったもんではない。昨年暮れよりGWの今まで、金魚本水槽〈約120リットル)の水換えはず〜っと週二回ペース。一週間サボると、確実に水カビ病が発症する。一回の水換えでバケツ6杯分(60リットル)換えるので、排水と合わせると12度水槽と水場を行き来することとなるが、それが三日に一度である。肩こり腰痛持ちのわたしには、もはやかなり辛い作業になってきた。以前当欄で「わが金魚たちには投薬はせず水換えのみ」と豪語したのだが、それも何度でも水換えができる元気なカラダの前提があってこそ。こう続いたのでは、さすがにメゲてしまった。

 そこで前回更新時直後から、ひそかに投薬を試みてきた。一定の無投薬期間を間に挟んで、違う薬剤に変えて試し続けてきたが、先に書いた通り、今でも三日に一度の換水作業が続いているのだから、結局どの薬も効果を得るに至らなかったということになる。しかしまあ参考になるかとも思う(ならんか)ので、一応報告だけはしておこう。今回は、もうイヤほど試した「グリーンF」「グリーンFゴールド」はパスして、1月は手始めに『塩』から攻めてみた。水カビ発生後、換水し塩を投入。もっとも今回は『アクアソルト』という大粒のザラメ状の製品にした。こちらのほうが溶けやすくて手軽だからだが、これ、塩のくせに結構値が高いのでそうそうは買えない。治療用の薬ではないので、量は用法表示よりかなり多めに入れる(このへんは経験則で)。しかしローテーション通り一週間で水カビ発生。換水し再度投入するも、また一週間でカビ発生。そのあと二週間は投入をやめ換水ペースを三日置きにしてカビ収まる。結果肩こり。

 2月はマラカイトグリーン系を試してみた。秋からの発病続きで金魚はボロボロ。鰭もスカスカに切れている。薬に堪える体力があるか心配なので、まずは弱めの薬剤『アグテン』から。前半二週間、執拗に換水投薬するも、やはり一週間あけると水カビ発症。後半の二週間は一月同様三日置きの換水でカビ収まる。この間、飼い主の苦労も知らず、換水したその夜には必ず発情。明くる朝は雄の精液で薬剤の青色も乳白気味に薄まり水槽は雌の産卵による卵だらけ。「お前ら病気と違うんかい!」。餌を与えず卵を喰わせ掃除させるようにするも水質は急激に悪くなりまた換水。折角の高い薬がオジャン。やなローテーション。結果腰痛。

 いい結果が得られず頭に来たので、3月は濃い目の『マラカイトグリーン液・ヒコサン』で行く。これ一本3,300円もした。くく…。前のふた月同様、最初の二週間投薬を続けたが、これも入れた尻から水カビ発生。結局一週間は持たなかった。二週目は投薬三日後に換水また投薬、を繰り返したけれど、やはりダメ。後半二週間は三日置きの水換えのみで終わる。肩も腰も痛む。二週間の無投薬期間を作っているとはいえ、金魚の体はますます傷んで来ている。しかし気温の上昇に伴い、水道水の水温が上がってきて、換水時の温度調整が簡単になってきたのはありがたい。温度設定のことを書かなかったけれど、ウチの場合水温をあげ28〜30℃で殺菌しようと何度も試みたが、まったく効果が無かったので、今は高温治療は止めてしまっている。通常水温の23〜25℃での投薬が常だ。


←しつこい水カビ病の波状攻撃にもかかわらず、メシを思いきり喰らい続けて、どんどん巨大化しているジャンボ(中央)。このペースだと母親の故「東王」のサイズ(30cm)に到達の時も近いぞ。
←左:ジャンボ、右:オヤジJR。現在も水カビ病のダメージが大きく残っている二匹。目玉のレンズはカビで白く濁ったまま。鰭先も櫛のようにスカスカになってしまっている。
←カタメは、左側の腹部が膨満してきて、だんだん琉金のような体形に。水カビ病関連症状なのか。それとも投薬の後遺症か。


↑みんな病気でボロボロの体になっているのに、元気だけは十分あるのが不思議。


 さて、4月に入って第一週。ここはもうひと押しと、再度『マラカイトグリーン液・ヒコサン』。なんと言ってもマラカイトグリーンは「水カビの特効薬」との評価が高い薬なので、未練がましく挑戦する。しかし一週間後にやはり水カビ発生。換水後一週間を置いて、最後の自棄糞と、今度は『サンエース』を投入した。こちらはメチレンブルー系なのでいまいち期待はできないが、三日続けて投薬する用法が効くかも、と試してみた。情けないことに三日目の投薬を済ませ、ひとビン空になったその夜に水カビ発生。コノヤロー!な結末が待っていた。4月にした換水はなんと10回に及んだ。バケツ一杯10リットルだから、6往復で一回につき120リットルのバケツリレーをしたことになる。水1リットルを1kgに換算すると、一度の水換えに運ぶ量は120kg。4月は10回したからトータル1,200kg。なんと1.2トンの水を運んだことになる。トラック1台ぶんじゃないか。わたしのカラダがギシギシ言うのも当然なのである。

 まあそんなわけで、以上のゴタゴタが金魚の更新を滞らせていた弁解なのであるが、当の金魚5匹はといえば、月に2度は水カビに皮膚や鰓を犯されて死にかけ、さらに薬のダメージを負うという繰り返しなのに、水換えさえすれば明くる日はピンピン元気、食欲モリモリになる。もっとも菌が完全に死滅したわけではないので、オヤジJRやジャンボなどの体は常に白い粉を吹いたような状態のままだが。とにかく集中的に薬剤を使い、水槽内を無菌状態にしてから次の手に移ろうとしたここ4か月の目論見は潰えた。そして再び以前のポリシーである「投薬はせず水換えのみ」の方式に舞い戻ったわけである。ただ今回の試みでハッキリしたことは、「わが家の金魚の水カビ病は根が深く、薬剤等で完全に絶やすのは難しい」「しかし週2回換水して水質悪化を防いでいれば、カビは発生せず金魚の生命に危険はない」の2点である。ここから導かれるのは、「金魚どもがデカくなり過ぎて、排泄物も大量。現状の濾過装置では全然あきまへん」ということである。
 
 現状の濾過装置は、外部パワフィルター「エーハイム2233」(90cm水槽用・プラス底面濾過)と「フルーバル103」(60cm水槽用)の2本立てに、サブとして水槽内に入れている「ミニゴン2」2本の、4濾過装置態勢であるが、このシステムでは水カビ発生を3日間防ぐだけの濾過能力が精一杯ということになる。もっとも立て続けに薬剤を投入したから、フィルター内の濾過バクテリアは死滅していてほぼゼロであり、今はただのゴミ取りタンクに成り下がっているわけではあるが。ショップのお兄さんに訊くと、パワーフィルターより上部式フィルターのほうが空気に触れるぶん濾過効率が良いとアドバイスしてくれたが、超貧弱な住環境事情により食卓のすぐ横にしか水槽スペースが取れず、夏の悪臭等の理由で上部式フィルターは仕舞っておくしかないのであった。バケツ運びの肩こり腰痛から逃れようと思えば、要するに3日間で60リットル分換水するに等しい能力を持つ強力なパワーフィルターを備えれば良いということになるが、貧乏な今のわたしにはそんなものを購入する余裕はないのである。これからも当分の間、月間1.2トン分のバケツを運んで水カビ発生を押えつつ、気長に濾過バクテリアの繁殖を待つ、ということか。とほほほ…。今日も金魚どもはわたしの姿を発見するやいなや、「飯をくれ!」とさかんに尻を振って踊っている。メシはまあいいけど、発病しながらサカるのだけはエエ加減にしろよ。まったく。



←トメ子。あいかわらずこいつだけ、水カビ病のダメージが少ない。トシが一番若いのに、もはや体長20cmを超えてしまった。
←カタメ。左の腹部が急に腫れてきて、ますます不細工に。消化不良なのか? 左側と右側ではまったく別人〈魚)のように見える。右側美人で左側醜女。
←飼い主のヤロー、病気の「症例写真」みたいなのばかりで汚くなるのを嫌って、更新してなかったようだが、あまりに治らないもんで、とうとう載せちまいやがったぜ。

↓おい!しっかり仕事して、はやく大型のパワーフィルター買ってくれよな。
2004/04/30 (Fri)

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