金魚と淡水魚の飼育
39話
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金魚の通信簿

左から段平、ジャンボ、トメ。カラダは大きくなったが子供っぽさは抜けないトメである。(03.12.21撮)


 今日は冬至だとな、今年もいよいよ押し詰まって来た。とはいえ金魚の本水槽は相も変わらず、換水から二日もするとカビ臭が漂ってくる始末。管理人はクソ忙しいのに毎週の水替えを続けている。度重なる病気発生で十数匹いた金魚共が5匹にまで減ってしまった今年であったが、減ったおかげで、おのおのの個体ごとの性格がはっきりと分かるようになってきた。10匹以上が犇めいていたときには、どれがどれやらも判別できず、ぼんやり見ているしかなかったのだ。これ、学校の先生にも当てはまるのではないだろうか。ひとクラス何十人も児童を抱えていたのでは、一人一人にまで指導が行き渡らなくて当然である。ま、そちらのほうはプロであるので、わたしなんざとは能力も違うのであろうが…。金魚と人間を一絡げにして申し訳ないが、わたしには5匹が良いところである。学校でもひとクラス10人くらいが関の山じゃないのかと思う。そんなわけで最近は水槽を横目で見て、視線に入ってきた魚のシルエットだけで、その個体を特定できるようになった。えらいものである。そうなってくると、一匹一匹のサカナのなかなか興味深い個性が際立って見えてきた。面白いものである。なもんで今回は、2003年の締めくくりにウチのへたれ金魚共の通信簿を付けてみることにした。

 今までの経験から言うと、金魚というやつは、水槽が大きくなったり個体数が減ってスペースが広くなったりすると、その空間を埋めるようにみるみる大形化するものだが、今回もしかりで、5匹になってからの半年間でそれぞれふた回りほども大きくなりやがった。一見不思議なように思えるが、冷静に考えてみると、自分たちの生息する環境の水量に余裕ができるということは、水質の悪化するサイクルが長くなるということであり、快適な状況さえ続いていれば、ヤツらはとにかくよく泳ぎ、よくメシを喰うのである。これは金魚に限らず、イキモノはみんなそうだと思うが、愉しむという概念はないにせよ、元気であれば日がな一日、「喰うこと」と「繁殖すること」のみに真剣に取り組んでいるのである。ヤドカリでもハムスターでも朝顔でも、それが上手くいっていさえすれば、その姿がヒトには「嬉しそう」に見えるのだ。実にシンプルなのである。なわけで、狭い水槽や飼育数過多などの環境では、自らの排出物などで水質がどうしても悪くなりがちなので、それに伴って食欲が落ち、成長の速度が鈍るのだと思うがどうか。

 さて、そろそろウチのヘタレ金魚どもの、性格分析と採点だが、上記したように、日々のくらしの中で、金魚の「人生とは生き甲斐とは」と問えば、その答えは、「飯を喰う」と「生殖行為」の2点に尽きると思われるのである。まあ、飯を喰う行為も、結局は繁殖のためということになるのだが、ここではこの2点に関しての手際の良さ、賢さに注目して、評価の基準にすることとしたい。ちまたの金魚様方だと、「容姿」「血統」「気品」なんてものが評価の対象になって、高値が付けられたりするのであろうが、ここ「偏屈の洞窟」では、そんなこたあドーデモいいことなのである。その金魚がイキモノとしての目的を果たすにのに持ちあわせている「資質」というものを基準に評価したい。人間力ならぬ「金魚力」があるかということだ。しかしま、少しは容姿の要素も入れてやろうか。管理人が5段階評価時代の人間なので、1〜5まで。科目は「生活」(=食事)、「体育」(=健康)、「保健」(=生殖)、「道徳」(=素行)の4科目にちょっぴり容姿の評も加味して総合評価を出すことにする。




↑オヤジJr。優れた運動性能と鈍くさい運動神経の持ち主なので、ガラスに激突が日常茶飯事。なので口や目のレンズは傷だらけである。
●名簿1番 【オヤジJr(じゅにあ)/3歳・雄】

生活 体育 保健 道徳 総合
2 4 4 2 3

エサの食い方は非常に不器用である。臆病な性格のせいか。漂っているエサを視認するやいなや、がむしゃらにそれに向かうのは良いのだが、口に入れる前にすでに反転することに重きを置いているので逃げ腰になり、確実に捉えられないことが多い。結果、十分な量を摂取することができずに、成長も鈍いし痩せてもいる。体がデコボコでオデキだらけなので「オヤジJr」という名が付いたのだけれど、オヤジ同様、敏捷で運動能力は高い。が、落ち着きがなく、ブレーキをかけられずにガラスに激突すること多々。運動神経は鈍いというしかない。サカリが来ると雌を追うのは非常に熱心。おぼこ娘であるトメにまでアタックをかける熱心さは買おう。両目とも真っ白だし、健康状態は良くないが、ウチの酷い水槽で今まで生き永らえてきたということだけで、そこそこの体力は評価できる。【総合・3】



↑カタメ。左目は欠損してしまっているが、右目は大きく円らである。こちら側だけ見ていると、まま別嬪か。
●名簿2番 【カタメ/3歳・雌】

生活 体育 保健 道徳 総合
1 2 5 4 3

ま、左目を事故で失っているというハンデはあるものの、エサの取り方があまりにも下手である。口パクしながらやみくもに水面をスキャンして走るだけでは、そうは上手く餌にありつけない。食べてもいないくせにすぐ不貞腐れて底砂をつつくので、その間に他の金魚に餌を食い尽くされてしまう。全く間の悪いヤツである。見ていて、あ、こいつ頭悪いな、と思わせてくれるくらいである。そのせいで痩せているのに違いない。ウチの金魚中でいちばん成長が遅い個体である。早晩体長ではトメに抜かれてしまうのではないか。しかし、雌としての器量はナカナカのものらしい。大所帯の頃から、繁殖期になると一番のモテ筋。痩せた体でコンスタントに産卵している。なもんで保健は5。おとなしくていつもフラフラ泳いでいるが、残った右目は大きく円らな瞳でクリヤー。このへんが雄には別嬪に見えるのか?【総合・3】



↑ジャンボ。水カビ病の後遺症で目玉が白く霞んでいる割には、餌を見つける手際の良さったらない。片っ端から食べてしまう分、そのまま肥大している。
●名簿3番 【ジャンボ/3歳・雌】

生活 体育 保健 道徳 総合
5 3 4 4 4

右体側の大きな腫れ物もなんのその、他の金魚たちを引き離すペースで巨大化してきた。くらしぶりを観察していると、その理由が頷ける。餌の取り方がバツグンに上手いし賢い。まず、浮いている餌を注意深く見ている。そしてゆっくりと近づき確実に食べる。一度の行動でその周囲に浮いている餌も丁寧に探って口に入れる。水槽の隅に残っているエサも丹念に探して食べる。投入された餌の大半を食べることになり、おのずと体がデカクなるというわけである。ま、冷静で落ち着きがあるということだろうか。しかしこれが自然界であったなら、いの一番に釣り上げられたり、獣に食べられてしまったりするのは明らか。「金魚力」的には評価の難しいところではある。両目とも白く濁ってしまっていて、病後の快復は遅い。産卵は安定しているが、雄ドモの激しいアタックにも、堂々とのんびりやりたいままにさせている。ヒトの男でも悪所ではこういうタイプに当たりたくないものである。素行に問題はないのだが、この点を考慮してマイナス1とした。【総合・4】



↑段平。一度危篤状態になり復活した猛者だが、ごらんのように顔面が右側に歪んでしまった。そのうえ元々才槌アタマである。情けない。
●名簿4番 【段平/3歳・雄】

生活 体育 保健 道徳 総合
4 4 4 5 4

この夏に一度死にかけてから心なしか落ち着きが出た。というか「悟りを得た」みたいなものを醸し出している。ジャンボ同様、餌の取り方が器用である。餌の位置を良く観察してから確実に食べる。なので体も大きくなってきた。とはいえサカリが来ると、オヤジJr以上に執念深くしつこい。萌えると顔つきまで変わるような気がする。両目玉ともクリヤーなのだが、顔が右側にどんどん歪んできているのが不細工である。素行は普通だが、水質が悪化し始めると、そそくさと定位置に落ち着きじっとしてくれるので、換水のタイミングのバロメーターになっている。この行動は管理人が重宝しているので道徳にプラス評価をした。【総合・4】




↑トメ。不思議に病気のダメージが少ない健康優良児である。ま、ウチの水槽にいて、キレイな容姿のまま大きく育つのはムリだと思うが。
●名簿5番 【トメ/2歳・たぶん雌】

生活 体育 保健 道徳 総合
5 5 2 3 5

三代目のトメは元気だ。餌の時間になると一番にわたしのほうに寄ってくる。量もたくさん食べるし、餌への執着心も強い。結果、成長は早く、体長は一歳上のカタメに匹敵するくらいになっている。が、経験不足なのか、どうもアタマは悪そうである。今のところは若さだけで押しているという感じか。性徴の現われも遅いようで、まだはっきりとはしないのだが、雄が時々ちょっかいをだしているところを見るとどうやら雌のようである。いやしかしおぼこ娘だね。雄に迫られても全く自覚していない様子。なによりも取り柄は健康でカラダが強いこと。度重なる水カビ禍にも、ひとりケロリと生き残ってきた。その上容姿は故・俊太郎にも似て美しい。性別がはっきりした場合「トメ子」に改名の予定。素行などはあまり感心できたものではないが、若さに免じてご祝儀の【総合・5】

オヤジJR。顔の先端が球面状にカーブを描いてストンと口に落ちている感じ。なので、目玉が飛びだして見える。いわゆるカッパ顔である。マヌケだ。松竹映画の「ギララ」のオマヌケさに通じるものがある。
カタメ。異様に頭部が大きい。他の連中が一生懸命餌を食べているというに、不器用なせいで上手く見つけられずに、不貞腐れて底砂をつついてしまう癖あり。なので肥れない。
トメ。どうやら雌の公算大。成長につれ尾の先が白くなってきた。鼻先が尖って細長い顔。その分目の位置が下のほうに付いているように見えるので、トロンとした感じの寝ぼけ顔である。
トメとジャンボが並んで泳いでいる。手前にいるせいもあるが、もはや一年の体格差は感じられなくなってきた。左は才槌アタマの段平である。武骨な野郎だ。

メダカの稚魚親元へ

デブアカヒレと一緒に泳ぐクロメダカの幼魚。もはや一人前だな。


 アカヒレやヤマトヌマエビに捕食されるのを懸念して、小瓶で育成していた子メダカ三匹だが、もはや十分な大きさになったと判断し、11月17日に親元の60cm水槽に移した。最初は水面近くを逃げ回っていたが、最近ではアカヒレを怖れることもなくなり、堂々と泳いでいる。

←孵化後二月半くらいのクロメダカ幼魚。
←子メダカが元気に泳ぎだしたと思ったら、ご両親は水槽の隅っこにいつも隠れるようになってしまった。何で?

ジャンボと段平(右)がなにやらお噂を…。
2003/12/22 (Mon)

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