金魚と淡水魚の飼育
36話
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冷夏恨めし

水カビ地獄を生き延びた5匹のうちの2匹、オヤジJR(上)とトメ。(8.20撮)


 前回レポートののち、金魚の水槽は水カビも消えて徐々に安定し、投入したPSBの効果もあってか、うっすら緑色に染まっていた。暑い日も続いたけれど上々のコンディションである。それでも念を入れて、週一度の換水は欠かさずにいた。しかしアクシデントが発生した。7月20日の水換え作業中に、「ハンサム」が事故死してしまったのだ。プロホースで吸い上げたバケツの汚水を捨てに行く間に、ストレーナーのパイプとサブフィルターミニゴン2の隙間にタテに体を突っ込んで動けなくなってしまっていたようで、それに気づかなかった私がさらに排水したため、頭の部分が水面上に出てしまった。これでは呼吸ができない。なにぶん水槽の隅の影になった部分なので気づくのが遅れたのだが、2,3分間のことだった。すぐにミニゴンを移動して開放してやったが、もはや完全に事切れていた。なんか狐に騙されたようなあっけない死だった。「ハンサム」は「ジャンボ」と並んで、本水槽最大の雌で、体長は23cmほど。タナゴ形の美しい体形だったので成長を楽しみにしていたのだが、惜しいことをしてしまった。

 さて、8月に入り最初の一週間は気温35℃超の日もあった大阪だが、金魚の水槽はすこぶる順調。ガキどもが海で採集してきたホンヤドカリ39匹の処置に追われて、海水水槽に手をとられていても問題なしの状態だった。9日から10日にかけて台風が通過し、少し気温が下がったけれど、翌日また35℃が復活した。水温はおおむね28〜29℃くらいである。お盆休みに入った10日、先に子どもたちを関東方面の妻の実家に送りだし、わたしも水換えを済ませてから3日遅れで新幹線に乗ったのだが、今年のお盆の一週間はご存知の通り、雨続きで肌寒い日ばかり。東京は「雨、雨、権藤、雨…」というようなけったいな気候。半袖半ズボンサンダル履きでは風邪をひきそうなほどであった。新聞等を見ると、関西方面も涼しいとあったので、コンディション好調な金魚水槽はもちろん、イキナリ過密化した海水水槽の水温上昇の心配がなくなって、すっかり安心して過ごしていた。

 お盆休み最終日の17日夜、一家揃って帰阪し、「さて疲れた。風呂入ってビール飲んで寝よう」と思いつつ水槽を見れば、なんと大惨事が発生している。緑色に染まっていた飼育水は、すっかり透明になり、水面は白い水カビに覆われている。金魚たちも全身真っ白。すでに5匹が底砂に横たわっているではないか! 旅装を解く暇もなく、あわててバケツを持ちだした。毎度のことなので詳しくは書かないが、とりあえず3分の2換水。金魚の体に付着した水カビをハケや指で取り除いてやる。横たわっている5匹を調べて見ると、すでに3匹は死んでしまっていたが、2匹はまだ少し息があるようで、時々口をパクパクさせている。そこで15リットルのバケツに水道水を汲み急遽集中治療室を設置。「グリーンFゴールド」を投入し、エアレーションをして、瀕死の2匹をこちらに移した。そうしておいて、また本水槽の換水に戻る。長い一夜の幕開けである。

 帰宅した時点ですでに死んでいたのが、「シリハゲ」「俊太郎」「ライト」の3匹である。いずれも鰓と全身にカビが付着しているうえ、各ヒレの付け根は大きく内出血していて赤黒い痣になっていた。目玉も真っ白。可哀相だけれど瀕死の金魚を救うことが先決なので、即、墓掘りをして埋葬してしまった。意識不明の重体で集中治療バケツで横たわっているのが「段平」と「レフト」の2匹で、見かけは死んだ3匹と同じ状態だが、時折口をパクパクさせている。エアーが鰓の部分に当たるようにしておいたが、蘇生は難しい状態と見ていた。本水槽に残したものの、重体なのが「カタメ」で、もはや自力で泳ぐことができずに水流に任せて漂っている状態。ただし体の向きは正方向を維持できている。残る「オヤジJR」「トメ」「ジャンボ」も目まで真っ白だが、こいつらは、まだ餌をねだる気力が垣間見えるので、まあ重症といったところか。この状態なので、手当てするのが精一杯で写真の撮影はできなかった。

 処置を開始したのが21時。本水槽のほうは、排水と注水を繰り返し続け、23時頃には、ほぼ120リットルの水が入れ替わったので、気休めにこちらにも「グリーンFゴールド」を投入した。経験からいえば、ウチの水カビには薬剤より換水のほうが効き目がある。なので薬効を気にせず、どんどん換水してしまうので、気休めに、なのである。今回の処置で、金魚の体に付いた白いカビをすみやかに落とすのに「テトラアクアセイフ」が効くことに気がついた。投入すると2〜3時間で目立たなくなるまでに改善した。いままでは2種の薬剤を混入してはいけないということで控えていたのだが、今後は注意しながら使ってみることにしよう。と言うわけで、24時頃にはふらふらの「カタメ」を除き、本水槽の3匹はほぼ快復。元気を取り戻し、体についた白いカビも消えてきた。

 一方、15リットルバケツの集中治療室では、「段平」と「レフト」が横たわりながら弱々しく口パクをしていたが、3時間が経過した24時頃になって、なんと「段平」が驚異的な復活。横になっていたカラダを正方向に保てるようになってきた。そこで換水・投薬が完了している本水槽に移した。こちらのほうが水量・エアーともに豊富だし、残る「レフト」の蘇生のためには、集中治療室を1匹のみにしたほうが適当と判断したからだ。「段平」は「カタメ」と同様、水槽内を漂うような状態だが、とにかく真っすぐの向きを維持できている。しかし体の内出血などは酷くて痛々しく、まだ予断は許さない状態である。集中治療室に残る「レフト」は、病状は小康状態。横になったままだが、口パクがいくぶん力強くなってきたようなので、翌朝、本水槽に移し、麦飯石を枕に、エアーが鰭のところを通過するようにして横たえた。「レフト」は、その名の由来通り、生来左がわの鰓がめくれて向きだしになっているので、カビが付着しやすく、ハケなどで取り除くのが困難なのである。かいあってか、動けないもののお昼頃には、目玉をきょろきょろさせるようになったので、こりゃこいつも助かるかなと期待したが、14時頃に突然呼吸が停まってしまった。12時間頑張ったのだけど…残念。

 その後も、数時間経つと再び水カビが出てくるので換水を続けて、現在4日が経過している。ようやく水質が安定しカビの発生も治まりつつあるところだ。「段平」と「カタメ」も元気をとり戻した。事故の「ハンサム」を加えると5匹が身罷ってしまい、金魚水槽の住人は一気に5匹に減少してしまった。まあ、適正な飼育数に近づいたというべきか。しかし今回もまた、外出中のアクシデントだ。こう続くと呪われているとしか思えないなあ。お盆一週間の間に急激に気温が下がり、それに伴って水温も下がったことが、カビの発生を促したようだ。そして今はまた33℃の暑さが戻っている。まさに冷夏恨めし、である。

九死に一生を得た2匹

意識不明の重体で、「レフト」とともに集中治療室で横たわっていた「段平」〈雄・下)だが、奇跡的に蘇生した。しかし胸ビレの先はボロボロだ。
「カタメ」(雌・上)も、全身真っ白になり非常に弱っていたのだが、復活した。写真は治療開始から三日後の状態。(8.20撮)
こちらは、比較的症状が軽かった3匹。
左から「ジャンボ」(雌)、「オヤジJR」(雄)、そして三代目の「トメ」〈性別不詳)。換水直後から、メシクレ!(8.20撮)

今回の水カビ病で、本水槽の金魚はこの5匹のみとなってしまった。

「段平」の蘇生と「レフト」の闘病
治療を開始したとき〈17日夜)は「レフト」同様、バケツの底に横たわっていた「段平」だが、約3時間の薬浴で復活。本水槽に復帰した。アゴの部分などに、まだ白い水カビが付着している。体を正方向に保つのが精一杯で浮遊している状態である(8.18撮)
上写真から数時間経った状態。ようやく少し自力で泳げるようになった。各ヒレの付け根は、まだ赤黒く内出血している。「アクアセイフ」の効果か、体に付いたカビは消えつつある。水が黄色みを帯びているのは「グリーンFゴールド」投入のため。(8.18撮)
治療開始4日後の「段平」。もはや元気を回復し、以前同様の食欲が戻った。ヒレの付け根の内出血も消えたようだ。ただ、写真では見えないが右側のエラにまだダメージが残っている。(8.21撮)

元気だったころの「レフト」。生まれつき捲れていた左側のエラに、びっしりと水カビが付着してしまったことが、助からなかった最大の原因だろう。(8.11撮)
バケツでの薬浴開始から約9時間後の「レフト」。少し状態が改善されたようなので、水量豊富な本水槽に移した。しかし体は横たわったまま。弱々しいが、口や目玉やヒレは動かしている。「段平」も当初はこの状態だった。(8.18.10時撮)
麦飯石を枕にして酸素吸入中。左側のエラ部分にエアレーションが直接当たるようにしている。上写真との連続撮影。口やエラを動かしているのがわかる。胸ビレの先などは溶けてしまってギザギザに。ジャンボが見舞いに来ている。(8.18.10時撮)
徐々に快方に向かっている様子なので復活を期待していたのだが、上写真の4時間後、突然「レフト」の呼吸が止まってしまった。残念。胸ビレの付け根などにはカサブタのような痣ができている。(8.18.14時撮)
辛くも生き残った5匹〈下)と、虫の息の「レフト」。
この時点ではなんとか6匹助かるかもと期待したのだが…(8.18撮)
2003/08/22 (Fri)

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