蒸気機関車と鉄道趣味
32前編
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国鉄 七尾線/能登線のC56形、C11形、C58形 前・中・後編(1973.3.31〜4.1)

前編「七尾駅のC56たち」

(minolta SRT101・ロッコール58/135mm f1.4〜3.5・fujicolor N100)

早朝6時ごろ、七尾駅で発車を待つC56牽引の貨161レ。
(C56124[七] 七尾駅 73.3.31)

七尾駅構内の転轍器標識。バックは早朝の入換作業をするC56。
(C56159[七] 七尾駅 73.3.31)

昭和48(1973)年3月30日から4月1日にかけて、北陸周遊券を手に、石川県の七尾線と能登線を訪れた。目的は七尾湾沿いを走る中・小型蒸機の撮影と、お座敷列車を蒸機が牽く『急行(快速)ふるさと列車おくのと』号への乗車だった。今回はその撮影行の写真を、ほぼ旅程通りの順に、前編・中編・後編の三ページに分けて掲載します。

3月30日夜22時10分、501レ急行『きたぐに』青森行は大阪駅11番ホームを発車した。北海道に強い憧れを抱いていた中学生のわたしには、この急行『きたぐに』への乗車も大きな夢の一つだった。後に、この長距離夜行急行には終点の青森までを三往二復も乗車することになるのだが、この旅が初めての乗車である。しかし金沢での途中下車。わずか5時間の夜汽車旅だ。深夜3時7分に金沢駅に着いたとき、後ろ髪を引かれるようにして下車したことを憶えている。

金沢には『おくのと』を七尾まで牽引するC58140が待機しているはずだが、なにせ深夜3時だ。ホームから撮影できそうにもないので断念し、3時49分発の321Dで七尾へ向かう。七尾着5時23分。朝まだきの七尾駅構内で入換作業のC56159とC56124牽引の貨161レの出発シーンを撮影した。



※撮影から30年以上経過したカラーネガフィルムには、退色や劣化が激しい部分があり、若干の補正は試みたものの、残念ながら往時の色を再現できたとは言えません。また資料不十分のためキャプション等には誤記の可能性があります。ご了承ください。


このカマは小海線で「高原のポニー」として活躍していた。
七尾区のC5697やC56123の廃車を受け、前年末の小海線無煙化で中込区から転区してきたものと思われる。
(C56159[七] 七尾駅構内 73.3.31)

入換作業中のC56159。
小海線配置時にあった煙突の回転火の粉止めは取り外されてスッキリしたが、
車体には痛みが目立つ。
(C56159[七] 七尾駅構内 73.3.31)

C56159のスポーク動輪とクロスヘッド部。
現在、同機の第二動輪が梅小路蒸気機関車館に保存されている。
(C56159[七] 七尾駅構内 73.3.31)


入換を終え、貨161レの先頭に向かうC56124。
(C56124[七] 七尾駅構内 73.3.31)

C56124牽引の貨161レは穴水で貨8161レとなり七尾線を直進、輪島に向かう。
輪島からは貨8166レ、貨166レとなって夕方七尾へ戻ってくる運用だ。輪島へは夜間にもう一往復する。
(C56124[七] 七尾駅 73.3.31)

発車準備完了。無風の朝、垂直に煙が吹き上がる。
(C56124[七] 七尾駅 73.3.31)

午前6時15分。七尾駅を出発する貨161レ。
(C56124[七] 七尾駅 73.3.31)



C56159は1939(昭和14)年、川崎車両製。
戦前より中込区に配属され、小海線で活躍。
72年12月の小海線無煙化に伴い七尾区に移動。
74年6月廃車。 石川県羽咋市志雄町の公民館前子供の広場に
静態保存されたが95年解体。
梅小路蒸気機関車館の動態保存機C56160に部品を供給、
第二動輪が同館に保存されている。
(C56159[七] 七尾駅構内 73.3.31)


七尾駅で貨161レ出発を見送った後、6709D 急行『のりくら7号』に乗り、穴水へ先回り。幸い貨161レは和倉駅に約50分、能登中島駅に約30分停車するので、十分余裕がある。急行の車窓から撮影地を物色しつつ7時14分穴水駅到着。ここから隣駅の能登鹿島まで、列車を撮りながら徒歩で戻ろうという、今思えば無茶な計画である。しかし当時は荷物や機材を抱えても5〜6km程度の移動は全く苦にならなかった。なにせ若かったものなあ。

トンネルを抜けて穴水駅へ下る貨161レ。
途中、和倉と能登中島の停車入換で、七尾駅出発時より編成はずいぶん短くなった。
(C56124[七] 七尾線 能登鹿島〜穴水 73.3.31)

上の写真は、穴水から能登鹿島駅方面へ向かって2つ目のトンネルポータル上からの追い撮りだと思われるが、本数も少なく貴重な列車写真なのに、なぜこのアングルから撮影したのだろう。もはや憶えていないけれど、本来はトンネルを超えた地点まで行き、トンネルに向かって勾配を力行する姿を狙いたかったのが、徒歩での移動で撮影地点まで間に合わず、慌てて撮ったのかもしれない。切欠きテンダーのC56なのと途中で編成が短くなったことが、せめてもの救いか。この後、峠を越え海岸沿いに出て、9411レ『ふるさと列車おくのと』の撮影に向かった。
(中編に続く)


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国鉄 七尾線/能登線のC56形、C11形、C58形 前・中・後編(1973.3.31〜4.1)
(minolta SRT101・ロッコール58/135mm f1.4〜3.5・fujicolor N100)

2006.12.20記

train321973.3.31〜4.1
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