ヤドカリと磯の生き物の飼育

29話
トップページ ヤドログ 金魚 オカヤドカリ 海ヤド

イソギン溶解!?

↑「今回は2006年4月採集の白浜組のその後、だってさ」
(06.12.04撮)


 この冬(平成18〜19年)は、ホントに暖冬だった。わたしは諸事情あって「立て篭り」生活を余儀なくされており、滅多に外出しないから、一般の方々ほど肌で感じることはなかったかもしれないけれど、おのおの厄介事を持つ生物を拉致した、三様の水槽を抱えているので、こちらのお世話の方向からシミジミと暖冬を感じさせられたワケである。例年であれば深夜や早朝に急激な冷え込みがやってくるので、南方生まれのオカヤドカリの舎温チェックは欠かせないし、金魚や海ヤド換水時の温度合わせなどにも、なにかと神経を使わねばならない時季なのだが、この冬はラッく楽で実に助かった。メンテ時の冷水でヒビアカギレを作ることもなく春を迎えることができて、ほっとする反面、この暖冬の影響が、生物のカラダや今年の夏の気候にいかなる反動をもたらすのかという心配もある。なんとなくヤな予感がしないでもないが。

 その暖冬のおかげか、当、海ヤド・デスクボーイ水槽も例年にない安定した経過で、10月下旬から2月初頭までの間は、脱落するヤドカリもなくやって来れた。やはり急激な水温変化が起る機会が少なかったせいだろう。でもま、事件が全く起らなかったわけではない。なにせ暖冬に胡座をかいたズボラ飼い主だ。やるべきことをサボっている輩に神様はちゃんと試練をお与えになる。

 発端はイソギンチャクの溶解だ。イソギンチャクを飼育するのは初めてなので、冬期に適当な水温がどのくらいなのか、また水槽内の水流はどのくらいの強さで、イソギンに直接当てることの良し悪し、何をどの程度食わせれば良いのかなど、さっぱり分からない。わたしのいつものやり方は、問題が起きたらシロートなりに良かれと思う環境改善をして様子を見、さらに悪化するようなら、よっこらしょと他の方法を試すというやり方だから、飼われているほうは堪ったもんじゃない。けれど、今までもそうした場当たり的試行法で飼育データを増やしてきたのだから、今回もそうするのである。でもね、それが愉しいんですよわたしには。正しい方法は本やネットで探せば見つかるのだろうけれど、それを見てしまうと、未知のものが既知になってしまう。面白くない。自分の中だけでの「史上初の快挙」が萎んでしまうではないか。オニ?

 イソギン溶解の詳細は写真コメントを参照いただくとして、それの手当てであれやこれやと水槽を弄っているうちに、どうも気づかぬままオウギガニを岩の下に拘束してしまったようだ。あわれオウギガニは岩の下敷きで頓死。そのまま人知れず腐敗してケアシや弱り気味のホンヤドにダメージを与え、巻き添え脱落者を出してしまった。このアクシデントさえなければ、この冬は一匹も脱落者を出さない稀有なシーズンになったところなのだけど、ま、仕方がないか。おおむね上々の首尾、ということにしておこう。



しぶとく健在のヤドカリたち
↑2007年3月1日現在、健在な海ヤド連中は全部で4匹。
まずはそいつらからご紹介すると、
中型で体色が濃いめのモスグリーンなホンヤドカリがコイツ。
地味な存在ながらヤド連の中ではもっとも無難に過ごしてきている。
とりあえず「軍曹」とでも呼ぶことにするか。
(07.01.13撮)

↑「軍曹」とほぼ同体格のホンヤドカリだが、
どちらも似たようなレイシガイを宿にしているんでややこしい。
こいつは自切グセがあるのか、しょっちゅう片バサミ状態になる。
で、緊急の脱皮を繰り返して来たものだから、体色が薄い。
便宜上、「先任(下士官)」とでも呼んでおくか。
(07.02.16撮)

↑こいつもホンヤドカリだが、まだチビである。
過酷なサバイバルをここまで生き抜いてきたのは大したもんだが、
なんでキミだけ成長が遅いの?
(06.12.04撮)

↑そして、唯一残っているイソヨコバサミがこいつ。
ずっと元気無くショボくれているし、ちょいちょい自切する。
触角の青も抜けてしまったうえ途中で切れてたりもするが、
意外にしぶとい。
(07.02.16撮)



 このサイトのアクアリウムコーナーでは「金魚」と「オカヤドカリ」と、この「海のヤドカリと磯の生き物」の三つのカテゴリーに分けてレポートを書いている。大別して三種類の生物を、それぞれ別の水槽で飼育しているのだが、ご覧になっていただいている方はご存知だと思うけれど、特に「金魚」の飼育がタイヘン続きで、これの世話には膨大な時間と労力を費やしているし、もはやトコトン疲れてもいる。そうして何とか生体をキープしてはいても、そこから得られる達成感や癒し感などは決して大きいものではない。何故かというと、金魚は「観賞用」に人によって作りだされた品種であって、その長い歴史の間に飼育法や病気の治療法、用具・薬剤販売のマーケットなどが、おおむね確立してしまっているイキモノだからだ。

 ま、「生物」だから、いまだ未知の部分は無限にあるとはいえ、金魚に問題が起ったときは、多種発売されている飼育本を読み、大量にあるサイトを検索し、お財布を持ってショップに行き、必要な用品や魚病薬などを購入し、説明書の通りに処置すれば適切に対応できるようなシステムが完成している。このペットは健康な状態を「観賞」するのが普通なのだ。なのでトラブルを抱えている期間の金魚の存在は、どちらかというと「忌まわしいもの」であって、「観賞」の対象ではなくなってしまうようなところがある。健康で優雅に泳いでいる姿のみを、金魚と呼ぶような概念が出来上がってしまっていると思うのだ。

 それなのにわたしは、飼育している金魚全匹が病持ちの「忌まわしいもの」で常態化しているにもかかわらず、前述のイソギンのようにシロート実験施療を愉しもうとしてしまうから、なんとなく虚しくて疲労感も甚だしくなる。途方にくれて、一旦自己流を見直し、マニュアルに添った治療を施してみることにしたら、先日、永らく闘病していた金魚の一匹が、市販の魚病薬投薬のショックであっけなく死んでしまった。やはり能書に頼った治療など糞喰らえである。健康に泳ぐ金魚をただ観賞していて、なにが愉しいのか!なのである。

 そこへいくと、磯で拉致して来たこの「海ヤド水槽」の住人たちは、なんとわたしを愉しませ癒してくれることか。潮だまりをじっと観ているだけなら殺生をしないですむけれど、磯にしゃがみ込んだままずっと観察を続けるわけにはゆかない。劣悪な水質の小さなガラスの囲いの中で暮らしていただくからこそ、メシを喰う様子、喧嘩の様子、深夜のふるまい、病気の発生、捕食のし合い、新たな生物の発生など、海の底で起っている、未知で驚異のエピソードを目の当たりにできるのである。

 もちろん海水魚も飼育のシステムはできあがっているのだが、飼育水の汚れをいかに効率的に濾過・浄化し循環させるか、と、病気の対処法が中心で、結局は金魚について書いたことと同様、基本的に購入して入手する「観賞魚」を健康に泳がせ生き続けさせるためのシステムだ。つまりこれも金魚と同様、さも健康でなければサカナじゃないというような価値観を醸している。そんなものは、今のわたしには要らない。わずか10リットルの小水槽だが、磯で拾ってきた生き物たちがガサゴソと這い回り、旨そうに餌を喰って気の向くままに行動し、そして死んでゆく。その生涯を拝見させていただくのがなによりも愉しいし好奇心をかき立ててくれる。

 磯で拾ってきた無脊椎動物たちを飼育・観察していて感じるのは、連中とは、俳諧味のある、自由でおおらかな付き合いができることである。濾過システムのサイクル具合なんかどうでもいいじゃないか。水が汚れて苦しくなりゃナンボでも人工海水を換えてやるかんね。そんでもって力尽きて死んでしまったら、オッサンまた次の連中を拉致してくるからね。それまで海の底でどうやって暮らしているのかを見せておくれ。知らなかったことを見せて驚かせておくれ。そしてせいぜい頑張って長生きしておくれ、だ。

 つまり、わたしには連中が病気になっても治療しようという感覚はない。ただへえ?と観ているだけだ、死んでしまっても弔う感覚はない。死んだ亡骸を他の生物が食べて葬ってしまうところまで観たいからだ。それほど未知で不思議で面白い世界だと思うからだ。「海ヤド水槽」観察による、このおおらかな癒しがなかったら、金魚の世話などとっくに投げ出してしまっていたかもしれない。テイク・イット・イージー、メイビーメイビー、だぜ。海ヤド槽の住人たちよ、ありがとう。


最近の水槽レイアウト全景
↑最近の海ヤド水槽全景。バクターセル&アイオマックペレット入りローターSを左サイドに移動。
左奥の底面濾過用ポンプが、ゴカイどもの狼藉ですぐに詰ってしまい水質悪化。イソギンなどがダメージを受けたので、
新たに右端にイーロカPF-200を追加設置した。しかしこの小水槽にはちょっと水流が強すぎる感じではある。
小型の外掛けタイプも買ってはみたが、潮だれ防止と脱走防止でフタにひと工夫が必要なのと、
水槽枠を削らねば設置できないので一旦パス。水温が上がる夏場に再考することにした。
(07.02.17撮)


↑2月4日の「オウギガニ憤死禍」の煽りをうけて、
落ちてしまったホンヤドカリ。
大きめの貝殻によく替わった個体だが、自切グセもついていたので
体力に余裕がなかったのだろう。
この写真撮影時も右の大鋏を欠損している。
(07.01.24撮)


←昨年10月の28話更新時から、ホンヤド一匹とホシゾラが早々に脱落したが、残りのヤド連は2月まで全6匹体制で安定していた。この写真に写っているのは今も健在なやつらばかりだ。上から「軍曹」「先任」そしてイソヨコ。
(06.11.17撮)
←たぶん「先任」だと思うが、他の3匹は大人しいのにこいつだけは自切はするわ、貝殻をかえるわで全く落ち着かないヤツだ。隔離中のケアシを喰うし(後述)、腹にもなんかぶら下げているし(後述)。でも活発な個体だ。写真は昨年11月の撮影。まだ幼さが垣間見えている。
(06.11.01撮)
←2月アタマの「オウギガニ憤死禍」まで、健気に生き残っていた唯一のケアシホンヤドカリ。冷凍シーフードも食べたが、どちらかというと海藻類の方がお好みに見えた。隔離中、「先任」に腹を齧られ悲惨な最後を迎えることになってしまった(後述)。
(06.11.04撮)

ケアシホンヤドカリ:2006年4月18日採集(南紀白浜)〜2007年2月4日没
←こちらも「オウギガニ憤死禍」まで残っていた、当水槽で最も大きかったホンヤドカリ。ホンヤドカリにしては無節操に大きめの貝殻を好んだ。自切グセがあったので体調が不安定で、突然の水質悪化に対応する体力が無かったように思われる。上はレイシガイのハンニバル。
(07.01.12撮)

ホンヤドカリ:2006年4月18日採集(南紀白浜)〜2007年2月4日没
←ショボクレイソヨコ君、右鋏欠損中(現在は再生)。ライブロックに登ることもせず常に底砂上にいて、あまり動かない。触角も脱色してへろへろだ。ムラサキウニとイソギンチャクが来てから自切しているヤドカリを目にすることが増えた。こちらのあずかり知らない深夜あたりに、ちょいちょいひと騒動が起っているのかもしれない。
(06.12.04撮)
←現存の4匹はいずれも昨年4月採集の南紀白浜の個体。ほぼ一年が経過したが、このチビホンヤドはいまだにチビである。つうことは採集時にはそれこそ赤ちゃん級のチビだったのだろうが、劣悪サバイバル環境をしぶとく(小狡くか?)生き抜いて、ようやくそこそこのチビにまで育ったということか。偉い!
(06.12.04撮)

↑「チビ」と「先任」の重連回送運用。
(06.12.04撮)


ウニどん(ムラサキウニ)
↑採集時、直径2cm程度だったムラサキウニは、
冷凍シーフードや塩蔵ワカメを喰いに喰ったあげくリッパな型に育ってきた。
写真は水槽メンテで塒を追われてウロウロするの図。
しかし「オヤツ」だけはしっかり離さず移動中。
(07.01.12撮)


←常にデスクボーイ右奥隅のローターSの裏っ側を定位置にしていたムラサキウニ。メンテ時には移動していただきたいのだが、無数の吸盤でガッシリガラスに吸い付いているので難儀である。それにトゲトゲだし。しかしウニ君、光がお嫌いなようで、ライトを照射してやるとすぐに暗いほうへ逃げ出すことがわかった。ただし、カラダのどの部分で光を感知しているのかが分からないのがモンダイ。当てる角度によっては戻ってきたりする(笑)。
(06.10.30撮)
←イソギンおばはんが溶け出したので、あわててミニ濾過器を追加設置したのだが、設置予定場所にムラサキウニが定着しピケを張って動かない。業を煮やした飼い主は機動ライト隊を出動させて「強制代執行」を敢行。結果、初めて前面ガラスのほうにノソノソ移動してきた。こうしてじっくり見ると結構なカタに育ってきたではないか。旨そう。ああウニ丼喰いたいなあ。これからこいつを「ウニどん」と呼ぼう。
(07.01.12撮・以下同日)
←よくばり…。
明るいところはどうも落ち着かん…と言いつつも移動中に触れた喰いものはどんどん口へと運ぶ。行儀の悪いやつだ。進行方向に岩組があろうが、コードが邪魔をしていようが、一切構わず強引に突き進むので、ウニどんの歩いたあとには折れたトゲの先端がポツポツ落ちている、つうことに。

↑先任:オレっち、ちょいと向こう側に行きてえんだがよ、
お前さんにそんなところにデーンと腰を据えていられたんじゃ、
物騒で通れやしねえ。邪魔邪魔。サッサと退いてくんな!
ウニどん:……

先任:なんでえ、無口な奴だね。ニボシなんか喰いやがって…
お、おい、こっちに来るなよ、あっちへ行けつうの、危ねえじゃねえか。

←つうわけで、水槽左サイドのお気に入りの場所(エアレーションの出ているサンゴのかけらの上)に行くのを邪魔された「先任」は、果敢にも「ウニどん」のトゲにハサミで応戦しようとするが、ウニどん構わず右側の元定位置に戻ろうと押し進んでくる。やむなく先任はじりじりと後退する羽目に。こんなことばかりやってるから自切が絶えないのである。しかしジャブを出そうと構える先任の目が本気だな(笑)。
←物陰の新・落着き先を探して、水槽右端までたどり着いたウニどん。移動速度は意外に速い。トゲの他に「管足」と「歩帯」と呼ばれる細い触手があるが、この先が吸盤状になっていて結構強烈な力を持っている。写真のようにサンゴ砂などは軽々と持ち上げて穴を掘る。この後、イーロカ本体もまるごと持ち上げて、ついに外してしまいやがった!

日陰暮らしのカニ連中
↑チンピラのオウギガニの姿が見えなくなったせいか、
岩穴からカラダを見せる機会が若干増えた感じのケブカガニ(二代目)。
(07.02.05撮)


←この二代目ケブカガニも、先代同様ほとんど外には出てこない。特に冬の間はこのようにチラリと脚を覗かせるのがせいぜいだ。このサンゴ岩は無数のトンネルが方々に抜け通じているので、移動のスペースはけっこうある。
(06.11.01撮)
←穴を覗き込むと睨まれた。動きはどんくさいが、餌をピンセットで近づけてやると、不器用そうにハサミで掴んでは穴の中に引っぱり込んで食べる。3月になってからは穴から姿を現していないが、このケブカだけは生きているのか死んでいるのかよく分からない。
(07.02.04撮)
←初代のオウギガニは、ライブロックから発生した二匹のうち一匹が生き残ったのだけれど、飼育期間は2004年3月頃発生〜2005年9月4日没で、およそ一年半の生涯だった。写真の二代目は2006年4月18日南紀白浜の採集個体で、ノッケから成体でやってきた。金ヤドゲストブックに書き込んだけれど、しばらく見ないなあと思っていたら、2月アタマにウニが片方のハサミを銜えているのを発見。御陀仏に至ったことが確認された。飼育期間は一年足らずだが、成体で来たことを思えば初代と同じような顛末ではある。ウチの環境がいいかげんなので何とも言えないけれど、この手のカニ連中の寿命って、だいたい二年くらいなのではないかと勘繰っている。
(06.11.04撮・以下同日)
←てなことを上のコメントに書いたが、実はこのオウギガニの死、飼い主のあたしの手による疑いが無いわけではない。1月半ばまで水槽をひっくり返して暴れていたのだが、ある日から姿が見えなくなった。多少は気にかけてはいたけれど、たぶん砂に潜って脱皮でもしているのだろうと放っておいた。するとイソギンの溶け出しが始まり、そちらの手当てで岩組を動かしたりしたのだが、その時、下に逼塞していたオウギガニを踏んづけて岩を設置してしまった可能性がある。こいつ、前にも書いた通りハサミ力は馬鹿強いが、運動神経は非常に鈍い。移動した岩底で、避けそこねたハサミを固定されてしまったりすると、もはやどうにも動けないと思うのだ。案外死因はそのあたりなのかもである。
←下品な脚回りとキリリと締めた下帯でチンピラ渡世人の風情を醸すオウギガニ。嫌いなわけではないのだが、毎晩、水槽のレイアウトを無茶苦茶にしてしまうので難儀なカニではある。行動も成長ぶりも先代とほぼ同じだったのでだいたいの性質は掴めた。狭いデスクボーイでは、多少持てあますところがあるので、次の採集ではお招きするのを一旦見送ることにしようかな。

オウギガニ(二代目):2006年4月18日採集(南紀白浜)〜2007年2月1日頃没(推定)

イーロカ(小型水中フィルター)追加設置完了
↑イソギンが溶けかかってきた。底面濾過用の水中ポンプが詰ってしまい、チョロチョロとしか還流しないので、
水質悪化ペースが早くなってしまっている。しかしゴカイがのたくっている底砂を取りだして底面を掃除するのは面倒だ。
よしんば行なったところで、またゴカイどもに即詰らされてしまうのは明白。
というわけでの場当たり的処置だが、小型の水中フィルター(右端)を追加してレイアウトを変更した。
写真は設置完了直後の様子。ウニが定位置を追いだされてウロウロ中。
(07.01.12撮)


その他の住人たち

←イボニシのアンダーテイカーは、いつも水槽背面の岩陰に半分砂に埋もれるように居を定め、めったに動かない。しかしちゃんと餌は食べているようで、どんどん大きくなって来ている。貝殻口付近の黒い部分が成長した証しだ。ウニどんのおこぼれを食べているのかもしれない。この写真は、オウギガニの住宅建設工事に伴い、廃材に混じって水槽前面に放りだされて来た時の様子。「ン?奥で寝てたのにいったい何事が?」と、ゆっくり体を出そうとしているところ。
(07.01.21撮)
←こちらはレイシガイのハンニバル博士。アンダーテイカーがでかくなっているのに対し、ハンニバルは縮み気味である。なんで? おまけに貝殻に多数寄生していたキクスズメが軒並みもぎ取られてしまって更地ができている。キクスズメ喰ったの誰だ? 犯人はアンダ−テイカーがもっとも疑わしいが…。まさか自分で喰ってないよね。
(06.11.01撮)
←ハンニバルは毎日活発に行動している。しかし来訪時の餌に対するスルドさは消えた。シーフード片が投入されても、以前のように一直線に到達することはなく、困惑気味にウロウロ探すようになり、あさっての方向に行ってしまうことも多い。なのでこちらも餌をいちいち鼻先に置いてやらなくてはならなくなった。博士、老けたのか?
巻貝類ではアマオブネガイ2匹は健在。徐々に大きくなっていて、こちらも貝殻に成長の層ができている。
(07.01.12撮)
←ゴカイ類の親玉も健在である。この写真は前回更新直後のものだけれど、珍しく砂から体を乗りだしていたので掲載しておく。砂中には、こいつクラスのが少なくとも2〜3匹と、あとガキどもが無数にいると思われ。
(06.10.21撮)
←今まで特に取り上げては来なかったけれど、2004年頃からしぶとくいる。ライブロックから発生、そのまま腰を据えている。ゴカイ(ケヤリムシやウズマキゴカイ、カンザシゴカイなど)の仲間だと思うが、このあたりの図鑑を持っていないのでよく分からない。もう3年以上になるが大きさもあまり変化がなく、鰓が開いたときの直径は2cm弱である。代替わりしているのかどうかも分からない。ヤドカリが通るとシュッと引っ込んで、またそろそろ開くところなどはなかなか愛嬌がある。
(06.12.04撮)
←海ヤド水槽の照明は8Wの蛍光灯1本なので、ビンボーなわたしでも色温度の違った管に交換して変化を愉しむことができる。目下使用中なのが「パンタナルホワイト」で、この管に変えてから急に白い海綿が多く発生するようになった。苔の種類や出方もランプの光色によってコロッと変わってくるのが不思議。水道水と人工海水しか追加していないのに、光色の変化で新たな生物が次々発生してくる海ってナカナカ面白い。
(07.01.13撮)
←さて、イボニシの攻撃に耐性があるということで、サバイバルを勝ち抜いてきた巻貝類、アマオブネガイ2匹を忘れてやるとかわいそうだ。最近は白い海綿とともに緑藻類も繁ってきたので、それあたりを食べているのだと思うが、写真のように2匹とも少しずつ成長している。黒っぽい、帽子のつばのような部分がこの水槽に来てから育ったところだ。お、下の個体はナイキのロゴ入りだなw
(07.02.16撮)

お吟婆さん
↑一時は完全溶解一歩手前まで至ったイソギンだが、なんとか復活。
お世辞にも元気とは言えないが、今もなんとか生き続けてはいる。
(07.02.05撮)

前回(28話)は生娘からオバハンに至るイソギンの変貌ぶりをご紹介したけれど、今回はその続編である。時間の経過とともに並べてみた

←前回更新直後のオバハン。触手は細く長くなって弱々しい。口盤はだらしなく開いていることが多くなり、口も剥き出しっぱなしになってきた。
(06.10.30撮)
←ますます弱って来ているなあ、と思って観ていたが、徐々に岩の表面を奥の方に移動して行った。奥に行くとヒーター管と水中ポンプの吐出口があるので、暖かくて水流がある場所を探しているのかと推測。岩組自体は動かさず、イソギンに直接当たる水流を強めにしてやったのだが…。
(06.11.17撮)
←どんどん岩の裏っ側に回り込んでしまい超脱力。胴の表面も張りが失われてシワシワに。こりゃもはやオバハンではない。婆さんだ。イソギンの「お吟」婆。それでも餌を与えるとサッと触手で掴んで口に運んでいた。改めて写真を見ると、多忙だったこの時期、飼育者のズボラぶりが一目瞭然。水槽の汚れも相当なものですな。
(06.12.13撮)
←う〜ん、モンブラン。
(06.12.13撮)

↑モンブラン状態のあと、イソギン婆あはさらに岩の裏側奥へ奥へ、
それも底砂に潜るようにして姿を隠してしまう。
ピンセットで餌を渡すこともできなくなってしまったので、
どこにおるねん、とサンゴ岩をぐるりと回転してみたら…
婆さん、溶けとる。
(07.01.11撮)
←こりゃいかん。メンテさぼりも大概にせにゃ、と慌てて海水交換し、前述のイーロカPF-200を追加設置。テトラのワンタッチフィルターAT-20も手元にあるが、こちらは水槽枠を削らないと設置できないので今回はパス。しかし婆さん、溶けながらもいまだ食欲はあると見え、ニボシを割いて与えてやると、もごもご喰っている(口の右の方)。歯無しになっては話しにならない、ってか。
(07.01.12撮)
←上写真の翌日。ここから「お吟婆さん」の驚異的な復活劇が始まった。口を閉ざしているので内部はよく見えないが、胴の表面はいくぶん張りが戻ってきている。
(07.01.13撮)
←縮んでほとんど溶け落ちていた触手も、水分を含んでプリプリとした感じが戻ってきた。昨日の今日なんだがなあ。
(07.01.13撮)
←メンテ後10日足らずでここまで再生。たいした生命力ではないか。
「イソギン溶解、なにか用かい?」なんつて。
(07.01.21撮)

↑「お吟婆、芸能界復帰記念写真集」
年増女優を熟女とかなんとか持ち上げて、お色気でもう一度稼がせるのも
カメラマンの腕次第、てか。
衰えたお肌を隠す小道具にワカメは必需品。
(07.01.24撮)
←まあ、なんとかかんとか触手は復活したものの、そのダブついた胴回りなんかは、お世辞にも美しいものじゃないなあ。
(07.02.04撮)
←しかし溶解のダメージはかなり蓄積しているようで、滑らかだった触手に、節くれやくびれが多く見られるようになった。なんか安物の乾麺みたいである。この先もまだまだ余談は許さぬようでんな、婆さん。
(07.02.16撮)

ケアシ君のご難
↑お吟婆さん溶け出し騒動で、新たなフィルターが追加されたので、
飼育人は暢気にズボラを決め込みすぎたようだ。
イソギンのケアで小まめに岩を動かしていたのだが、
その折オウギガニのハサミを踏んづけたまま放置した疑いがある。
動けなくなったチンピラはあわれ頓死、腐敗が始まった。
けっこう大きく育っていたのでベントス連中の手にも余り
わたしの知らないうちに水質が悪化、が原因と推測している。
そして2月4日、唯一のケアシホンヤドカリが殻から離脱。
もう一匹のホンヤドカリもダメージを喰らってしまったようだ。
(07.01.12撮)

←気づいた時にはホンヤドは貝殻から出て、すでに腹部をすべて食べられてしまっていたのでお墓行き。ケアシも脱力して裸になっていたが、まだ生きていたので、すみやかに海水交換をして百均ペンケースに貝殻と一緒に隔離。餌を持たせて快復を待っていたのだが…
しばらくして水槽を覗いてみたら、なんと先任が、隔離中のケアシホンヤドカリの腹部をケースの穴から引っ張りだして、旨そうに喰っているではないか。ケアシは腹を喰われつつも、まだピクピクと動いている。ケアシもケアシだ。よりによって穴のある端の方に移動したのね。ま、わたしの不注意ではあるけれど、悪い奴なあ、先任。
(07.02.04撮)
←そんなにムキになって引っ張らんでも。あわれケアシ君はなすすべもなくバンザイ状態。もう腹部は半分近く食いちぎられてしまっていたので、わたしも救出を断念。先任を引き離しただけで生き絶えるのを待つのみに。しかし、つい先日まで上に乗ったり乗られたりして遊んでた仲つうのに…まったく、畜生じゃのう。
(07.02.04撮)

寄生虫なの卵なの?
↑オイラ先任だよ。もうじき脱皮しちゃうもんね。
(07.01.21撮)

←2月の中頃、先任が脱皮した。自分の脱いだ脱皮殻を前にして、しばらくは貝殻に引っ込んで神妙にしていたが、甲殻が安定したのか、数時間後に貝殻を出て裸で徘徊しはじめた。しかし海ヤドの脱皮は早いなあ。オカヤドならひと月は神妙にするというのにねえ。
(07.02.16撮・以下同日)
←いくら元気な先任といっても、この水槽で裸はいけませんよ裸は。老けたとはいえ、お吟婆さんの触手やウニどんの管足、ハンニバルの歯舌などに捉えられちゃひとたまりもありませんから。なもんで危険な場所に行かないようにと動きを監視していたら…ん? 腹の横になにか赤いものが…? うう、老眼でよく見えん。こりゃマクロ撮影して画像を確かめねばとカメラを持ちだし、照明を点けたのだが…
←急に明るくなったもんだから、あわてて元の貝殻に戻ろうとせわしく動き出したので、ますます良く見えなくなってしまった。闇雲にシャッターを切ったが、みな手ぶれとピンボケ。疑惑の赤い物体もシャープに撮れずじまいであったが、あとで写真をよく見ると、赤い筒状のモノが腹の左脇にぶら下がっている。こいつが邪魔をして上手く殻を脱ぎきれなかったようで、腹部分の脱皮殻までズルズル引き摺っている。何だコレ?
←あらら、瞬時に元の貝殻に戻ってしまった。しかし大事そうに小脇に抱えてるねえ。何それ?

さて、何でしょう。筒状袋状で色が赤いところは環形類のような気もするが…ヒルの仲間が吸い付いているのか。また、ヤドカリに寄生することが知られているのは甲殻類のフクロムシや、ヤドカリノハラヤドリなんて等脚類がいるようだが、そちらはもっと虫(ダニやワラジムシやフナムシ)のような形をしているはずだし…。寄生虫ではなく自分の卵塊を抱えているのだとすれば、そんなときにわざわざ脱皮なんかするかねえ?わからん。
これの正体分かる方、いらっしゃいますか?


↑さあ、お約束の過去帳だってよ!
二代目オウギガニ(2007年2月1日頃没)
(06.11.17撮)

住人覚え書/2007.3.3現在
●先住者(2004.7.18採集)
・ハンニバル(クリフレイシガイ)
・アンダーテイカー(C型イボニシ)
・ゴカイ類:無数(代替わり無用)
●06年春入居者(2006.4.18採集)
・ホンヤドカリ:3(軍曹・先任・チビ)
・イソヨコバサミ:1(名前はまだない)
・ケブカガニ:1(二代目)

・イソギンチャク:1(お吟婆)
・ムラサキウニ:1(ウニどん)
・アマオブネガイ:2
●過去帳(2006.10.13以降/確認できたもののみ)
・没 ケアシホンヤドカリ(07.2.4)
・没 ホンヤドカリ(07.2.4)
・没 オウギガニ(二代目/07.2.1頃)
・没 ホシゾラホンヤドカリ(06.10月末頃)
・没 ホンヤドカリ(06.10月末頃)


先任のエステ・ジフアニ3連発

←このエアレ−ションが出ているサンゴのかけらの上はヤドカリ連中のお気に入りの場所になっている。お食事を終えてお腹がくちくなった先任は、ここに登ってカラダのお手入れをするのが日課だ。

「まずは、大事なハサミのお手入れ〜♪」
(06.02.16撮・以下同日)
←「唯一の武器だけに、丁寧に研いでおかんとイカンわい」
←「歩脚だって、おろそかにはできません〜エステエステ♪。ナニ、行儀悪いって? 放っといてんか!」

↓「人並みの水槽設備も買えんくせに、採っては殺すの繰り返しダョ。もう大概にしてもらいたいもんだね!」
  す、すんません……。
2007/03/05 (Mon)

28話へ 30話へ

(c)Copyright "cave" All right reserved. テキスト・掲載画像の無断転載を禁じます。