おかやどかりの飼育

45話
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もうじき飼育10年、さて寿命は?
〜一人暮らしは気楽なもんだ〜


↑あいかわらず息災なヤド六姐さん。あとふた月で来宅満10年を迎えます。
いくら面倒をみたところで一向に懐かないけれど、そんなドライな関係もまた良しと。
(09.04.01撮)


 オカヤドカリのヤド六を飼育しはじめてから、あとふた月で丸10年になってしまいます。大きさの割には寿命の長いイキモノだとは思うけれど、特にこれといった特別な飼い方をしているわけじゃナシ、まあ長命息災はヤド六姐さんの徳というところなのでしょう。当然ながら、わたしも一頭のムラサキオカヤドカリをこんなに長く観察し続けるのは始めてでありまして、ムラサキでもオスやヤド六以外の個体の生態、またナキオカヤドカリやオカヤドカリなどの他の種においても、同じように飼育できるのかどうかは経験がないので分かりません。しかしヤド六は、大した手も掛けずにここまで生き続けて来たわけですから、自然界でのオカヤドカリの平均寿命がどのくらいなのかはともかくも、天敵に遭遇さえしなければ、もともとがかなり丈夫で長生きなイキモノなんだろうと思います。 

 飼いはじめの頃は年に2〜4度ほど、脱皮潜りをしていましたが、その後、年1回の時期が数年続いたあと、ここのところはかつてのボーナスのように年2回で落ち着いています。ヤド六は、いまだかつて一度も砂上で脱皮をしたことがなく、毎回40日間前後はしっかり砂に潜って終了まで出てくることはありません。4月に入ってそろそろ脱皮の頃合いがめぐってきたようで、先週一週間ほど潜っていましたが、なにか不具合があったのか脱皮前に出てきました。でもって、ヤド舎中をひっくり返し、ガジュマルを丸坊主にしたあげく、本日ふたたび穴掘りをしております。最近は狭いほうのケイ砂入り10cmアクリルキューブを選択することが多いんですが、今日もそちらを掘ってます。しかしこの極狭ヤド舎に長く暮らしているベテランなので、そこは手慣れたもの。上手く穴を掘って身を差し入れ、仕上げにちゃんと天井を付けてしまうテクニックはお見事。砂の厚みだって6cm分くらいしか入れてないのに大した職人ワザです。

 砂に潜ってしばらく経ち、カリカリ音も聴こえなくなれば、本格的な脱皮作業に入ったと判断して、デスクボーイ水槽から流木やエサの皿など余計なものを全て取り出してしまいます。あとはおよそ40日間、無事出てくるのを待つだけですから、飼い手にとって最も楽ちんな期間です。特に今の時期はもう保温の必要がないので、ときどき湿度にだけ気をつけておけば、他の生物の水槽のケアに専念できます。ヤド六の場合、約40日間の脱皮潜りが年2回ですから年間約80日は手のかからない期間があるということになります。これが陸ヤド飼育のありがたいところ。しかしま、こうのんびり飼っていられるのも一匹しかいないからでありまして、複数を同じ水槽で飼育していると干渉その他でこうはのんびり行きません。ヤド六10周年祝いに伴侶と見合いをさせてやろうかと思うこともありましたが、このままこの個体の観察を続けるためには、やめておいたほうが無難だなあという考えが現時点では大きくなっています。しかし個体の採集や購入なんてのは、すべて「出会い」と「衝動」に左右されますので、結局どうなるかは分かりませんけどね(笑)。


絶景かな
↑陸ヤド舎となりの空き水槽はヤド六の運動場になっている。
デスクボーイをメンテする間は、そちらでヒマを潰してもらうのだ。
毎回一番てっぺんまで登って和みます。
(08.07.06
撮)

↑高見の見物をしているヤド六をさらに高みから俯瞰撮影。
脚を滑らせて転落すると、折角気に入っているマルサザエを割ってしまうことにもなりかねない。
お願いだから行動は慎重に頼みますよ。
(08.07.06撮)

↑こちらは下から見上げた状態で撮影。
オカヤドカリは「仰視したほうが、表情が豊かに見える」
というのがあたしのオカヤド撮影のツボです。
(08.07.06/以下同日撮影)
↑何が見えてるんでしょうねえ。
じっとしているが触角だけはさかんに動かしている。
そろそろ飽きてきたのかな。
↑高い所にも飽きました。というか、
脱走の可能性を探りに登ったんだろうけど、トッペンは行き止まり。
ならば、いつまでもいても仕方がないということだろう。
やっとこさ、と降下中。

2008年度、2回目の脱皮潜りが無事完了。
↑2008年度2回目の脱皮潜りは、小さいほうの10cmキューブにて8月25日にスタートしました。
で、無事脱皮を終えて砂から出てきたのが10月1日。36日間の御無沙汰でした。
久しぶりの食事。真剣な表情で好物の水草(アナカリス)をガツガツ喰っております。
(08.10.01撮)

↑砂から出た直後のヤド六姐さん。砂粒を背負ったまま
とりあえず水場に行き、せっせと水分の補給をしとります。
(08.10.01/以下同日撮影)
↑それからこんどは餌場へ…「アレ?食い物の皿がないぞ!」
そう、脱皮潜り期間中は、小間物は全部片付けてしまうのでした。
ちょっと待て、すぐに用意してやるからな。
↑エサを貰って落ち着いたところを、摘まみ上げられ、
海ヤド舎で海水をひとっ風呂浴びてから、ねぐらに戻って参りました。
長い脱皮潜りの砂粒も落ちて、サッパリ。

↑そうこうしている間に11月。そろそろ涼しくなってくる案配。
この日は久々のオカヤド舎フルメンテ。大ロフトはサンゴ砂パウダーに。
温度計の針は20℃ちょい超え。背面のヒーターはまだオフのままです。
(08.11.08撮)

カラダもじわりじわりとデカくなって来ているよ。
↑こうやって二つの眼柄を揃えて同じ方向に向けているときは、なかなか愛嬌があるなあ。
でもオカヤドカリの眼は複眼だから、この程度動かしたところで見え方が変わるものでもなさそう。
8〜9月に行なった脱皮で、カラダはじわりと成長した感じ。
あんなに迷いぬいて新居にしたマルサザエだけど、スッポリと体を収めることはもはや全然ムリです。
(08.11.08撮)

睡魔、来たる
↑「う〜ン、退屈だねえ。特にやることないしねえ…」
10月だけど天井はまだメッシュの夏仕様であります。
(08.10.11/以下同日撮影)
↑「さて退屈だ、今日はこれから何をするかなあ…
メシを喰いに下へ降りようか、ガジュマルを齧ろうか、
それとも水でも飲むか…」 てなことを考えて?おります。
↑「う…う、しかしなんだか、ね・眠いなあ」
長いあいだ一頭飼いなんで完全に平和ボケ。危機管理ゼロなんであります。
至近にカメラの黒いレンズが迫っているというに気づかんのか。
↑必死で睡魔と闘っているところです。
第二触角が見えなくなり、眼柄が鋏の間に畳み込まれてしまえば
完全に、Z・Z・Z・Z・Z…ですね。

さあ春だ。新ガジュマルが入ったぞ!!
↑オカヤドカリはガジュマルが大好き。ヤド六姐さんもしかりです。
力ずくで手元に確保して、ハサミでチョッキン喰い。
(09.03.08撮)

年明けて2009年の春になりました。

昨10月の脱皮完了以来、ずっと地上で過ごしてきたヤド六。飼い主からしてみれば、厳冬の時期に潜っていただくのが一番扱いやすくてありがたいのだが、どうもここ数年のヤド六の脱皮ローテーションは冬からずれてしまっているようだ。食事療法で修正が可能かもしれないけれど、まあムリはすまい。冬季をずっと起きていられると、ベランダで養生中のガジュマルも一輪挿し用に伐れる枝が少なくなってしまい好物お預けの日々が続くのだ。だんだん暖かくなって来たのでホームセンターを覗いたらミニハイドロの株があったので購入。こいつを丸ごと水場にドボンして、ベランダのガジュマルが繁るまで時間稼ぎをしようという魂胆だったが、あにはからんや一週間たたずに丸禿になりました。写真は水槽に入れた直後だが、さっそく狙ってますね〜。
(09.03.08/以下同日撮影)

←最初は頭上に垂れ下がっている枝を触角でスリスリしていたが、やにわにガバッ!と行動開始。思い立ったら結構速いんだこいつ。ハサミを伸ばしてハッパをふん掴むと体重をかけて引き込み、脚で押さえつけゆっくりと調理にかかります。
←器用に大小のハサミを使って、紙切りならぬ葉切りにいそしむ。少しでも長持ちさせたい飼い主は、観察しながら、「あかん、枝は伐るな! ハッパにしといて!」と願うのだが、ヤド六は「そんなこたあ、知ったこっちゃない」。まあいいか。
←ヤド六も伊達に10年暮らしていない。モリモリ喰って脱皮を繰り返すうちに鋏も相当デカクなったもんだから、こんなミニガジュマルの葉っぱなんて、二枚重ねてケンケンでも切れるとばかり、ペチン!…う、挟まれたくない(汗)

↑新じゃが、ならぬ新ガジュ入荷の気配が…
第一触角をピンと直立させて左右に振り振りスキャン中。
ダウジングするなら太閤さんの隠し御用金とかもスキャンしてくれんかの。
(09.03.08撮)

手狭になった旧お気に入りスペース
↑ヤド六の成長とともに、
かつてのお気に入りの場所(塩土の奥)も窮屈になってしまった。
なので最近はダイニングコーナーが空いていることが多い。
(09.04.01/以下同日撮影)
↑一日中ぼ〜っと寝ている日が続くと思えば
せかせかと落ち着きのない日もあります。
今日はエイプリル・フールだけど中潮だよ、何かあんの?
↑ははあ、さすがにそろそろ脱皮ローテが近いのだな。
と思ったので、ヤド舎のフルメンテをしてやりました。
その後4月6日に潜ったけど、一週間で出てきてしまいました。
↑なんや、またガン飛ばしかい!


↓ちゅうわけで、ヤド六姐さんは毎日元気に暮らしております。
もう面白いエピソードは出そうにありませんけど、
また近況を報告しますので、どうぞよろしくです。
(09.04.01撮)
2009/04/14 (Tue)

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