金魚と淡水魚の飼育
56話
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菌魚救い
〜 菌魚の生き様は並の金魚とはちと違います 〜


↑なんでオイラのくちびるが、こんなに肥大してるのかって?
ほら、向こうにいる餓鬼が毎日追い回してくれるからだよ。
どうも水槽のガラスと相性が良くて困るよ。
(09.05.13撮)


 暑くなりました。縁日などでの「金魚掬い」が楽しいシーズンですな。ところがところが、うっとこの金魚水槽では、しばらく平穏無事に過ごしておりました拾丸の体調がまたぞろ急変。もうこの人はカラダの隅々まで、祖母東王以来の当家菌魚の遺伝子を後生大事に受け継いでおりますゆえ、いつ噴火するかわかりませんので困ったもんです。そんなこんだで、ひさびさの「菌魚救い」を敢行する羽目になったしだいです。

 前話から6月末までの3ヵ月あまり、およそ順調に過ごしてきた拾丸と清正。季節柄食欲も旺盛だったのですが、清正の摂取量ばかりがあまりにも大きく、ますますメタボちゃんに。そこで、おひろいには酷ではありますが、ダイエットペースに餌の量を減らしておりました。なもんで飼育水の汚れもゆるやかになり、換水は週いちペースのルーティンワーク。当家水槽にしてはたいへん穏やかな日々が続きました。まずは平和な5月13日の様子をご覧いただきましょう。


〜 かえって不気味な平穏の日々 〜
↑水槽の左側面と家具とのスキマは、
あたしが読んだあとの新聞を挿し込むスペースになっている。
拾丸も清正も一面を熱心に読んでいる…わけないか。
(09.05.13撮)

↑いたって健康優良。発育甲種合格金魚の清正。
この体高の高さは、おじいちゃんかおばあちゃんかは知らないが
どこかでゲンゴロウブナの血が混ざっているのかもなあ。

(09.05.13撮)


 しかし平和というものは長くは続かないのが世の常。6月29日のこと。いつも通り給餌を終えて水槽の拾丸をよく見ると…ん?、なんか顔周辺がムケムケ水虫田虫状態になっとるではありませんか。背びれ腹びれもショボーンと元気なし。あわててメガネを外し(老眼w)しげしげ観察するに、顎下から全身にかけて水生菌症のようなものが広がりを見せております。「また噴火かよ!」です。前日までなんともなかったのに。飼育水は良好で、同日の清正の写真を見るとわかるように、こちらは同居にもかかわらず全く体調に問題なし。まさに菌魚遺伝子休火山自爆なのであります。ああ呪われた血は恐ろしいなあ。

 つうわけで、ひさびさに「菌魚救い作戦行動」を開始。まずは換水と純ココア投入で様子を見ることにしました。ココアを喰うので餌は絶食です。しかしこれ何なんでしょ。水カビみたいにも見えるし、白点みたいな粒も見えるしなあ。わが血族は厄介なもんを持ってますなあ。他家からきた清正は涼しい顔をしておるというに。2日にわたってココアを投入しましたが、拾丸の症状は悪化の一途で、急に激痩せしたうえフラフラしてきました、水虫田虫が全身を覆いだしたので、ココア療治を終了。6月30日から金欠の我が家に唯一残っている魚病薬、メチレンブルー薬浴に切り替えました。


― おひろい、突然の持病発症? ―

←朝の給餌の折りにおひろいの異変に気づいた。エサはよく食べているのだが、背びれはショボーンとして元気なし。昨日まで異常はなかったし、水温も水質も大きく変化はしていないはずなのに、何で?
(09.06.29撮)


ん〜、まあ菌持ちゆえの持病なんで仕方ないと言えば仕方ないんだが、それにしても突然出すなあ君は(笑)。やっぱりだんだん暑くなってきたのにカラダが反応したんですかねえ。
(09.06.29撮)

近寄って観ると、あらら、結構酷いですね。顎のところがインキンタムシ見たいになってますよ。一応は水生菌症のたぐいなんだろうけど、この人の場合は、じゃあソレ用のクスリが効くかというと、そうじゃないんだよなあ。まあ、こうやって食欲のあるうちはしばらく様子を見て、どう手を打つか考えていても大丈夫です。
(09.06.29撮)


↑数時間して見ると、症状がどんどんカラダ全体に広がってきているのがわかる。
こりゃ「どげんかせんといかん」ということで、とりあえず純ココアを投入。
(09.06.29撮)


今まで散々、水カビ病と闘ってきたのでわかるんですが、飼育水に水カビが発生すると、他の元気な魚体にも少しは付着するし、水面の端っこなどにも白いカビがモロモロと浮くんです。ところが今回はそんな兆候全くナシ。同居の清正は何もなかったようにピンピンしてます。飼育水もおおむね良好。おひろいの菌魚の血が自爆してるだけなんですな。たぶん。
(09.06.29撮)
給餌を止めてココアを投入すると、腹の減った金魚は必死でココアを喰らいますから、あわよくば拾丸の体内も殺菌してくれんかな〜という願望があるのでございます。だって飼育水は良好なんですから。できることなら拾丸だけに点滴でもしたい気分ですけどね。
(09.06.29撮)



 7月に入り、換水を一日置きの非常モードにシフト。しかし拾丸の状態はますますヤバイ感じに。それというのも餌を貰えなくてカリカリしている清正が、フラフラで着底状態の拾丸を突っついて追い廻しはじめたから、ますます悲惨な様相に。おひろいは水槽や用品のあちこちに体をぶつけて極度のグロッギー状態。特に左の鰓蓋の損傷が著しく、白く剥げて透き通ったようになり、はっきりいって今回おひろいはもうダメかと覚悟しましたです。マン悪く、家族の風当たりに耐えきれずに60cmサブ水槽を物置に撤収した直後で隔離治療もままならず。ここはいつも通りの力技、頻繁換水をやみくもに行なうしかすべがありません。

 で、用具箱をひっくり返したら出てきた、ヨウ素イオン抗菌剤の「アイオマックサンド」を投入することにしました。以前「アイオマックペレット」を買ったとき、翠水さんからサンプルにと少量いただいたもので、そのとき社長に「サンドは殺菌力が強烈ですから注意して使ってください。メダカ水槽で実験したら全部死にました」と助言されていたシロモノです。公園の砂場なんかの殺菌に使うヤツです。これをひとつまみ、お茶煮だし用パックに入れて水流の当たる場所に晒してみました。まあ気休めなんですがね。「溺レル菌魚、藁ヲも攫ム」ですわ。


― いよいよ東王一族の血も絶えるのか? ―

↑7月に入り、おひろいの症状はますます悪化してカラダ全体に及び、活性も大きく落ちてきた。
絶食中だがエサをねだる元気もなくなったので、これはかなりヤバイかも…と、メチレンブルー投入。
(09.07.03撮)

水カビのようでもあり、泥かぶりのようでもあり、白点のようでもある、ようわからん状態。ここまで酷くなってくるとさすがに飼育水も少し生臭い匂いが漂うようになった。
(09.07.03撮)
拾丸がフラフラになっているというに、空腹にイラついた清正が、ハライセに激しく追い回しだした。弱っているのに追われるから、拾丸は闇雲にガラスに激突を繰り返し、ウロコを剥がしまくりながらついに着底状態になってしまった。こら!清正。
(09.07.03撮)
水面から見下ろしてみると、この数日で激ヤセしてきたのがわかる。
(09.07.03撮)
ヒレはボロボロ。特に左側の鰓蓋がまるで溶けてきたように白く変化してきた。もうダメかと思いつつ、一日置き換水&メチレンブルー投入で回復を祈る。飼育水殺菌用のアイオマックサンドもやや増量した。
(09.07.03撮)


↑頻繁換水と投薬にもかかわらず、おひろいの体調は良くならない。目もうつろ。
こんなときに限って清正がイジメるから困ったもんだ。
いよいよ東王の血脈も途切れるときが来たのか…と、ちょっと覚悟した。
(09.07.03撮)


 その後もセッセと換水&メチB投薬を続けておりましたが、拾丸の体の状態は良くなりません。が、が、が、7月5日のこと。弱っているくせになんだか「餌くれ」のアピールが激しいのに気づきました。ここが金魚の飼い方と菌魚の飼い方の違うところなんですが、経験上、ウチの菌魚に限っては「病気でも食欲のあるときはたらふく喰わせるが良し」というセオリーがあるのです。あたしの心にちょっと光が射しました。で、「ほら喰え!」ドバドバドバドバ。とごはん解禁。そうしたらなんだかよく解らんけど、以降、清正より積極的に餌を漁るようになった拾丸は、日ごと急速に快復してきたのです。なんだかなあ。ようわからん菌魚じゃのう。しかしま、とりあえず今回の「菌魚救い」は無事終了。


― おい!メシ喰って回復かよ! ―
7月3日には、もう死ぬかもなあと思わせた拾丸ですが、あたしの頻繁水換えが効を奏したのか、それともアイオマックサンドが効いたのかわかりませんが、2日後の7月5日。カラダの状態はそのままなのに、なんだか元気に泳いで餌をねだるではありませんか。こちらの姿を眼で追うようになったし、背びれもシャンとしてきました。おお、食欲が戻ってきたのは僥倖でおます。一般常識では薬浴中は絶食なんですが、ウチの菌魚のセオリーは違います。喰いたいだけ喰いねえ!なんであります。(酸素供給量を増やすためのエアレーション強化で水槽内が白い泡粒だらけになってます)
(09.07.05撮)
そらよっ!とメシを喰わせたら、拾丸ばっかり喰うの喰うの。一方普段は餌の三分の二をさっと平らげてしまう清正は、あまり食が進まないご様子。そりゃそうか。元気なのに絶食喰らうわ、クスリを入れられるわで、消化器が反応しなくなってるのかも知れません。ほとんどのエサをおひろいが食べてしまいよりました。で、泳ぎにも力強さが戻ってきました。まったく不思議ですなあ菌魚つうのは。
(09.07.05撮)


↑おひろいの魚体はあいかわらずの悲惨な状態だが、あたしには分かる。もう大丈夫だ。
お目目がギョロリとこっちをしっかり見るようになったのは活力を取り戻した証し。
「おっさん、メシくれんかなあ〜」と思う余裕が戻ってきているのだ。
(09.07.05撮)



― 元気になったよ ―
「えヘヘ〜メシ喰ったら治りました、えろうすんまへん」
あのなあ。ほたら換水せんでも、投薬せんでも、餌だけで治ったんかいな。そんなことはないやろ、やっぱり。あたしがセッセと世話したさかいに良うなったんと違うのか? しかし、もう自分勝手に病気を出し入れせんといて欲しいなあ。
(09.07.17撮)
おひろい:「メシ喰わせ!、メシ喰わせ!」
清正:「この人、ほんまに大丈夫なんかなあ。まったくカメレオンみたいな菌魚やなあ」
(09.07.17撮)


↑このたびは…ごらんのような顛末で。えらいお騒がせしました。
(09.07.17撮)



↓菌魚にや菌魚の道がある。並の金魚タァちと違う。ビューン!
(09.07.05撮)
2009/07/18 (Sat)

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