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文庫本読書倶楽部
96
ふしぎの博物誌

ふしぎの博物誌 96 ふしぎの博物誌−動物・植物・地学の32話

河合雅雄 編
中公新書
科学雑談

投稿人:コダーマン ☆☆☆ 03.03.24
コメント:もっと科学の話を聞きたい、という気になる


 花崗岩を御影石というが、それは神戸市の御影で採取されたからだとこの本で知った。
 私にはそれが新しい知識だったが、この本は、そうした知識を与えてくれることが重要なのではなく、自然をどういう風に観察すれば面白いのか、科学は自然をどういう風に解明して見せてくれるのかということを何人もの書き手がちょっとした味付けで読ませてくれる。これがなかなかいい。
 最近しばしば耳にする「里山」という言葉について、漠然とこんな地域という意識はあったが、この本の中で『里山とは、薪炭の生産を目的として定期的に伐採・利用される二次林のことである』と、教えてくれた。ははぁ、私が勝手に文字から想像していたのと半分ほど違っていたと、わかった。
 ページ数にすれば5、6ページずつ、それぞれの分野の科学者が「科学的に面白いところを煮詰めて」語ってくれる。それが、科学という分野の面白さを紹介というか、そっちに導く力を持っているのである。
 ほら、こういうところをじっと見つめて解明することはあまりしないものだけれど、よく見るとなかなか面白いものなんだよ。でね、虫のこういう行動を見つめその意味を考えると、生物の不思議がわかってくるんだね。
 そういう風に楽しませてくれる本である。
 この本を面白いと思った人は、子供に読んで聞かせて下さいと編者が書いている。その事に納得はしたが、子供に聞かせるには文章が難しい感じがする。でも、この本を中学生や高校生に読んで欲しいとは思う。だたし、もっとも楽しめるのは、理科の好きな大人である。



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