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文庫本読書倶楽部
01
コロンブスの呪縛を解け

01 コロンブスの呪縛を解け
  (NUMAファイル)[上・下]

クライブ・カッスラー 著
新潮文庫
海洋冒険小説

投稿人:cave ― 00.06.19
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 一発目、ということで最新刊からチョイスした。

 はっきり言って、私は新潮文庫贔屓である。この際最初に宣言しておく。なぜか、ひとつ、内容に「ハズレ」が少ない。ふたつ、紙質が手に馴染む。みっつ、栞が付いている。よっつ、活字の書体が好きだ。そして、いつつ!!私はYonda?CLUBの「文豪カップ&ソーサー」を狙っているのだ。最初は2001年3月末の締切に100冊ならチョロイ!と高を括っていた。しかし、他社文庫とまぜまぜで数えてゆくと結構苦しい感じになってきた。そこで新潮社に言いたい。一社単独での100冊読破は働き盛りにはなかなか難しいものがある。しかして文豪カップにはいまいちシャレが無い。ひとり浮いている「カフカ」をやめにして、達成者の写真でオリジナルを造られたし。漱石、康成、大宰、そしてオレ!これだと客に出すとき笑いがとれるではないか!それくらいの見返りがあればこそ、100冊二回くらいやってみても良いという価値と意欲がでると思うが、どうか?

 話を本題に戻そう。C・カッスラーの「ダーク・ピットシリーズ」といえば海洋冒険小説の大看板だが、書店の平積みにこの装丁をみたとき、「アレッ?」と思った。C・カッスラーの新刊ローテからイレギュラーしているからだ。そこで手に取ってよく見てみると「NUMAファイル」とある。これはドキュメンタリーシリーズについた「冠」ではなかったか?しかしフィクションのようである。読んでみた。シリーズの主人公であるダーク・ピットとアル・ジョルディーノは登場しない。そのかわりに似たようなほかのキャラクターが登場している。ンん?それも共同執筆者付きである。「ちょっと、ズルいんでないかい…」でも、まあ面白ければ許す。ところが…いまいち!といわざるを得ない。前作の「暴虐の奔流を止めろ」では、たしかにスケールの大きな展開と意外な進行に引き込まれたが、いかにもアメリカ映画のシナリオ的なエンターテイメント臭が全面に出過ぎて、味わいを欠いたというのが感想であった。ピットとアルのキャラクターは読者に完全に認知されているぞい!という前提でエピソードを強引に押しまくった印象が強い。このまま進むと次作は私にとってはちょっとハズレになりそうだな〜と感じていた。

 その矢先、今回の作品は以前の、しっとり路線できたわけだが、いかんせんキャラクターが中途半端すぎた。どうせなら、天下一の巨人・怪力醜男とか、KGBくずれの殺人マシーンのようなダイバーにすりゃよかったんだ。その新コンビがサンデッカーと大もめしたあげく、NUMAに迎えられたとしたら面白かったのに。ピットのクルマと対照的に、お宝ピンナップを蒐集したりして冷蔵庫に保管しているとか…そいつがサンデッカーの葉巻を吸っていたりしたら笑うんだけどなあ…。

 まあ、このパラレル路線を間に挟んで読めたので、良しとしたいところだが、これでますます本編(ピット主演)への期待と風当たりは強くなったと感じる。このシリーズ、初めての人はこの作品から読み出さないこと!

 C・カッスラー、「ダーク・ピットシリーズ」は次作が正念場だと思うよ。


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