(メールマガジン"ZEKT"寄稿コラム バックナンバー)

vol.13:オリンピッククイズ
2004年07月25日(日)配信分
 いや、暑いですな。まあ毎年のことですがね。あたしの勝手な事情なんですが、我が仕事場は目下エアコンが使えない状態になっておりまして、キーボードに汗が顎からポトリポトリ。う〜たまりません。涼しい環境でお仕事をなさっている皆様が恨めしい偏屈です。

 さて、そうして茹だっておりましたところへ、親しいライターさまから助太刀依頼のお電話が。この夏の催しの親玉といえば、なんたってアテネオリンピックであります。したがって各媒体はこぞって五輪関連キャンペーンを張り、景気をつけているのでありますが、本件もそのひとつで、「五輪関連クイズのイベントをやるから、その問題を作成せよ」という依頼であります。

 あたし、クイズ作成はガキの頃から大好きでありまして、二つ返事で了解したのですが、聞いてみると、10日ほどの間に400問近い問題を作成せねばならぬという、超キビシイスケジュール。こりゃ元請けライターさま一人では不可能に近い物量。あたしもノルマ半分は持たせていただく意気込みで取りかかりました。

 とにかく数を稼がなければ始まらないのですが、イザ作り出すと、問題作成にキツ〜イ条件があることが判明。文字数の限定は、まあ良いとして、問題文には正解とひとこと解説、また正解に関した資料の出典も付けろとのこと。やってみると、この「裏付け」資料の添付には、とてつもない調査時間を要するのでありました。なんとそのうえ、肖像権の問題などがあるので、選手名を入れた問題はNGですと。

 と、なると、もはやオリンピックの「歴史」か「記録」の数字関連、競技の「ルール」に関する問題くらいしかできやしないんです。いやね、作るのは良いんですが、解いて愉しいから「クイズ」なんでありまして、記録の数字を羅列して選択させても、ちっとも面白くありゃあしないでしょ。これじゃ「試験」になってしまうのでありますよ。などとぼやきつつも締め切りは迫りますから、なんとか先に見本を150問ほど搾り出して提出しました。

 帰ってきた返事は、IOC絡みになると認可等がややこしいので、純粋に「オリンピック」のみに関する問題も遠慮して欲しいというもの。ガーン!これで先に送った問題の半数はボツです。あたし、ほんのちょっと「キレ」かかりました。一体どうやって作れというのか。賢明な皆さんにはご理解いただけることと思いますが、選手名を出さないエピソードでは、そうそう面白いクイズに仕立てることはできないのですよ。しかも400問!

 それでも締め切り期日は動きませんので、ウンウン唸りながら作り続けましたら、ずいぶんしばらくして主催元から連絡が。「やっぱり選手名を出して良いです」ですと。クライアントに企画は通したものの、でき上がった問題をしみじみ見て、ようやく「無理筋」だったことに気づいたのでしょう。もう!そんなもん最初から解ったうえで企画をたてて頂きたいものですぞ、代理店どの。

 しかし残された時間はもはや二三日。脂汗をたらしながら徹夜し、なんとかあたしのノルマの250問あまりをひねり出しましたが、こんなに疲れた仕事は久しぶりでありました。さて、アテネ五輪はもうすぐです。どこかで、五輪関連クイズてなものに接する機会がありましたら、(出題者の艱難辛苦も思い浮かべながら)愉しんで解答をしていただければ幸いかと。もうへろへろ。