(メールマガジン"ZEKT"寄稿コラム バックナンバー)

vol.15:デジカメ禍
2005年03月26日(土)配信分
 ひさびさの登場でございます。みなさまご健勝でいらっしゃいましたでしょうか? 今回のあたしの話題は、またあいかわらずのセコいぼやきなんでございます。いや、ぼやきと言うより、もはやお願いと言ったほうが正しいかも知れません。誰にって? いやその、カメラマンさんに。

 技術の進歩は日進月歩。デジタルカメラもあれよあれよと、性能が向上、価格も低下し、ようやく「一眼デジカメ」が我々下々の者の手の届くところまで降りてまいりましたようで。頑なに、銀塩に限ると突っぱねておられたフォトグラファーの御仁も、もはや年貢の納め時というところでしょうか。しかしま、プロユースのデジカメの普及・低価格化も、パソコンやインフラの高速・大容量化が整って始めて「使える」ものになったわけですが、その流れの早さには今さらながら驚かされますな。

 企業のIRや人事関係のパンフレットなどの仕事には、人物の取材やインタビューのページなんてのが付き物でして、ここに使用する写真なんてのは、スタジオでグラペバックに撮影というような凝ったものは稀でして、大概は応接室や仕事場風景をパチパチ、というようにしてお茶を濁すことになるのですが、こういう撮影にはデジカメがだーんぜん楽チンだということで、デジタルデータの写真原稿が、あたしどもデザイナーのところに回ってくることがほとんどになりました。

 パソコンの作業速度が速くなったのと、HDDが大容量化されたこともあり、納期が無いとき(もはや全部そういう仕事ばかりですが)など、デジタルデータはデスクトップでちゃっちゃと補正して即入稿できてしまうので、ありがたいといえばありがたいのですが・・・しかあし、カメラマン殿にはヒトコト言いたーい。

 あのですね。いくらパチパチ撮れるからと言って、たかが5カット使用程度の人物写真を、CD-R4枚も満杯にして送ってくるんじゃなーい! ロム1枚にJPEGデータで500枚くらい入りますから、CD4枚だと約2000枚。これをまずハードディスクにコピーしてから、アプリで一枚一枚拡大して全部チェックし、5枚を選び出すデザイナーの身にもなってくれい。半日かかりまっせ、まったく。おまけにピンの来てないのやら、目をつぶっているカットやらも全て丸焼き丸送り。プロのプライドちゅうもんはないのかー!

 以前なら、せいぜいベタ焼が4枚程度。そりゃたくさん撮れば撮るほど、カメラマンの手間とコストがかかりますから、ま、そのあたりが適当な枚数でしょう。そのベタ焼きにカメラマンお薦めカットをダーマトで印を付けてくれていたもんです。ライトテーブルでポジをチェックし、スキャナーでアタリ用データを入力しても、今ほどの時間はかからんかったですよ。

 確かに、デジカメのオートフォーカスは、あまりアテにならなくて、数撮りして選択するのが無難だとは思いますが、その粗選択は撮ったカメラマンのお仕事でしょうが。一切合切をデザイナーに押し付けないでもらいたいんですな。そうで無くてもこちとら最近、かつての製版屋の仕事まで肩代わりする羽目になっとるんですから。仕事の工程は増える一方、ギャラは下がる一方なんすよ。お願えでございますだ、親愛なるカメラマン殿。m(_*_)m