(メールマガジン"ZEKT"寄稿コラム バックナンバー)

vol.2:おっさんにゃつらいよウエブデザイン
2002年12月04日(日)配信分
 どうも。偏屈・不器用・貧乏性のcaveでございます。

 お若くて柔らかい頭をお持ちのクリエーターの方々には失笑ものの話かもしれませんが、不器用なおっさんのわたしにとっては、結構難物なんでございますよ、ウエブデザイン。

 いえ、デザインの仕事をマックを使ってするようになって15年近くになりますから、パソコンに特別暗いというわけではないのですが、ロットリングペンと暗室が必需品という時代に小僧として始めたこの仕事。自分の持っている印刷物での「完成」のイメージと、ウエブのそれが全く違うところが困ります。まあアタマが固いということなんですが。

 ホームページでは、閲覧者の環境によって見え方が変化してしまいますので、すべてのPCで全く同じ表示をさせることはほぼ不可能との認識が、まま一般的です。ところが「紙モノ」で修業してきました、わたしにとっては、それではどうも納得が行かない。デザインを極力固定した〜い。んなもんで納品直前になってチェックを始めると、もう終わりません。あっちのOSで見て嘆き、こっちのブラウザで見てまた嘆く。ちょこちょこ直して回るんですが、こちらを立てればあちらが立たず。スタイルシートも万能とはいかず、ヘトヘトになったあげく、膨大な時間を費やしてしまっているという情けなさ。作っている時間の方が短かったこともしばしば。こりゃ商売にならん。

 これ、イラストレーターやフォトショップなどを切り回してこられたことに味をしめて、ウエブのほうも「現物合わせ」の力技で切り抜けようとするのがいかんのです。いかんせんこちらには「文法」なんてものがあったわけです。勉強せにゃならないものなのですな。でも、勉強、嫌いなんです(キッパリ)。

 実は1996年あたりから、ホームページ制作の依頼がポツポツ来るようになってはいたのです。そこを勉強がヤなもんで適当な理由をつけて逃げ回っていたのですが、2000年の声を聞くころになると、もはややらないわけに行かなくなってしまいました。ご存知の通りインフラとPC性能が急激に進み低価格化し、爆発的に普及が進んだからです。やらねば、喰えません。

 ホームページ作成ソフトを数種購入し試しながら、やっつけでサイトを作って来ましたが、お客様のサイトで現物合わせの実験を重ねたあげくギャラまでいただく、というのはどうも気が引ける。多少の出費も投資だと、自前のドメインを取得しサイトを開き、そこを実験場にしてゴソゴソ作りそろそろ2年です(気の利いた内容のサイトではありません。気になるという奇特なお方は『偏屈の洞窟』名でご検索を…)。なにせ文法無視の現物合わせ実験場。まあ個人のサイトですから、こちらの中味はソース等ぐちゃぐちゃのままですが、そのかいあってか仕事として納品する、お客様のサイトには、多少まともなものを提供できるようになってきました(当社比)。

 DTPの場合は、今のところまだ後ろに製版・印刷工程が控えておりますので、人に任せなければならない部分があるのですが、ウエブでは、正味一人で全部作ることができます。「そこが楽しい!」というクリエーターの方が大多数なんでしょうが、そう言いきれる方って、たぶん器用な人なんだろうなあ。わたしなどは、印刷物レベルの仕上がりに職人的にこだわってしまい、画像作成、レイアウト、カラーリングなどにドえらい時間を費やしたあげく、他ブラウザ等でチェックして「ウギャー」と逆上する繰り返し。とても楽しいと言えるものではありません。ご同輩(おっさん)の皆様方は、そんなふうになりませんですかね。やはり、ブキなわたしだけなのか。

 ようやくなんとかホームページ作成ソフトのみに頼らずに作れるようになっては来ましたが、そんな折、「HTML文書の文法を超シビアにチェック・採点」するサイトの存在を知ってしまい、ふたたび気分は沈み込みつつあります。納品後クライアントにチェックされたくないなあ。「いやー、いいサイトをありがとう。文法マイナス190点だったけど」なんて……あ、怖わ〜。

 肩も凝ります目も眩む。おっさんにゃつらいよウエブデザイン。