(メールマガジン"ZEKT"寄稿コラム バックナンバー)

vol.6:伝わってますか?
2003年04月13日(日)配信分
 またまた、出番がまわって参りました。偏・不器・貧のおっさん、caveでございます。春とはいえ、あいかわらずわたしのところは貧乏風が吹き荒れておるような次第ですが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか?

 さて、今回もセコい「小言」を聞いていただくわけなんですが、昨今、仕事の連絡をメールのみでやり取りすることが、格段に増えました。ブロードバンドの普及で、重い添付データも快適にやり取りできるようになったお陰ですな。大阪在住のわたしですが、東京方面の仕事がほとんどで、そうそう打合せにも出向いていられませんので、このインフラの進歩は実にありがたいものです。電話で話すのは要点と緊急事項のみ。後は全部メールでのやり取りです。重量級のデータなどは、ホームページのサーバからダウンロードする方法などで送受信しているので、もはや納品もおおかたはネット経由で済んでしまう。これは楽ちんです。なにより便送などに比べ、タイムロスが少ないのがありがたい。

 メールのみのやり取りですと、仕事の都合に合わせて自分の時間を調整しやすい、たとえば徹夜明けの真っ昼間に電話を待ち受けずに済むてな利点があります。濃縮爆睡可能〈笑)。もっともお勤めの方は、こういう横着はできませんがね。ただし、この方法でスムーズに仕事を進めるには、外せないポイントがありますな。

 まずは、お互いが定期的にメールチェックをしているという信頼感が構築できていなければなりません。これ、簡単なようでナカナカ困難なことであります。考えようによっては電話よりも面倒と言えるかも知れません。ま、その方の性格によって向き不向きがある、ということでしょうか。レスポンスのリズムが合って上手く流れる相手とならシメタものです。メールの合理性を最大限に生かして独自のルールでやり取りすれば良いわけですな。いちいち「お世話になっております…」なんて無駄な挨拶は必要なし。「デタ添1/cv拝」てな符牒でサクサク行きましょう。

 大事なのは、相手に要点がキチンと伝わる通信になっているか、ということです。この点が一番のネックなのであります。電子メールや携帯メールが普及したことで、日本人が文章を作成する機会はイキナリ増えたと思われますが、正しい文章を書ける人が増えているかというと、やや疑問。メールだけのやり取りで仕事をこなしてしまおうと思うなら、尚更慎重な作文が必要ですな。原稿や訂正の指示を送るときなどは誤解を生じないように、また受け手が理解できるかどうか充分に注意して書く必要があります。

 文章の不具合によって誤解を生じた例はあげにくいので、単純な一例を。とあるパンフレットの入稿間際、最終訂正のメールが来ていました。深夜3時です。翌朝データ納品の約束としましょう。ま、こんな横着もネットを使えばこそ可能になった無理仕事なんですがね。内容は地図部分の訂正です。メールには、「朝日橋の文字を追加してください。その隣の橋はトル。海岸通りの表示も追加。以上でオーケーです。では朝6時メドでよろしく!」。…って、オイオイ、こちらに土地鑑の無い街の地図だよ。朝日橋ってどこにあるの?橋そのものをトルのか?どの道が海岸通り?…電話も憚られる時間です。仕方なく地図サイトを訪れて必死の検索。10分のつもりが1時間掛かってしまいました、てなね。

 これは全くオマヌケな一例ですが、文章の書き方の不具合で、内容が理解できない場合や複数の意味に取れてしまう場合は、さらに厄介です。確かにメールは便利で楽ちんなんですが、仕事に利用するのなら、ちゃんと相手に伝わる内容になっているか、正しい日本語になっているかを慎重にチェックしてから送信することを常に心がけたいものですな。