(メールマガジン"ZEKT"寄稿コラム バックナンバー)

vol.18:ひとり勝ち
2005年11月27日(日)配信分
 あれよあれよと言ってる間に、ことしも残りひと月ですか。速いですなあ。どうやら景気も上昇中のようで、株価も高値に戻しております。とはいえこちらには食玩の「オトナ買い」をする余裕さえありませんが、景気の恩恵を受けていらっしゃる皆さんには、先のバブル崩壊を教訓に、上手くやっていただきたいもんです。

 政治や経済にはシロートのあたしですが、報道などを見ますにこの景気、株と不動産の好調が引っ張ってきているようですな。原油価格の高騰で膨れ上がったオイルマネーが株安だった日本企業に投資された結果だ、なんて言われると、油屋が目先を変えれば、今にもペチンと弾けてしまいそうで心もとないことこのうえない。

 気に障るのは、最近の景気の良い話つうのは、どうも「ひとり勝ち」の場合ばかりが目に付くからで、本当に社会全体が上昇傾向にあるのかを疑ってかからざるを得ません。ウインドウズのシェアなど最たるものですが、ipod、国内ではシャープの液晶なんかもそうです。トヨタに至っては日産とホンダの生産量を足してさらに100万台加えた量での堂々のトップだそうで、どうしてこうまでの大差が付いてしまうのか不気味なのであります。

 スポーツ界もその傾向があります。大相撲では朝青龍の「一強」が続いて久しい。日本シリーズはロッテの4連勝。阪神もペナントレースでは二位中日に10ゲーム差の優勝でしょ。どうも面白くない。

 だいたいがクリエイター業というのは、今までに無いアイデアや表現を生み出してナンボ、という商売ですから、おのずと反骨精神の強い人間が多いと思うんですが、先の総選挙の小泉自民党の圧勝や、菊花賞のディープインパクトの単勝100円なんてのは、投票する人間がいてのこの結果。まあ選挙の方は小選挙区制のアヤが出たとも言えるものの、G1の単勝100円に至っては開いた口が塞がりませんわ。

 スローガンには「挑戦」なんて反骨のコピーも多少は目に付きますが、ここんちの国民の傾向として、どうも「長いものには巻かれろ」「ムダな捨て金はしない」というような、長い不景気時代に擦り込まれた醒めた行動が表面に出てきているのでしょうか。「ひとり勝ち」には、それが影響しているような気もします。

 しかし、一発大逆転のドラマがないことには野太い文化は育たないし、社会も面白くありません。クリエイターたるもの、敗けを承知のうえでも一発反骨の意志を表示しようではありませんか! ナニ、「余計なお世話だ」と。う・・・御意。

 今日日の世相、下手な反骨など誰にも相手にされず、不遇と貧乏に拍車をかけるだけですが、あたしは地道に偏屈を全うしつつ、業界最後尾から人生のマラソンの完走を目指そうと思う次第なのであります。だって、やっぱり面白くないもの。